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第155話

「関係ないかも知れないけどぉ、女王様困らせるのは感心しないよぉ~」 「困らせるって何だよ。俺の方が困ってるだろ。お前らみたいなうるせぇのがうじゃうじゃいて、めんどくせぇしうぜぇし。しかもその管理もできてねぇとか有り得ねぇだろ」 「ふぅ~ん。あんた女王様と付き合うの向いてないよ。諦めな」 にやりと笑った茅ヶ崎は、俺が知ってる茅ヶ崎じゃなかった。 ピリリと空気が張りつめる。 「隠れてこっそり話聞いてたからさぁ、何かちょっと感じるものでもあったかな~、なんて勝手に期待しちゃったけど。他人に期待なんてしちゃいけないね」 茅ヶ崎は軽薄そうに笑って、シェイクをズゴゴゴゴと吸った。 「うん、これまだ固い」 でしょうね。 「結局さ、女王様が自分のために何かすることを当然と思ってるでしょ。藤くんと須賀谷くんに甘えるのやめるのも、自分といる時間増やすのも、自分の言うこと聞くのも、ぜ~んぶ当然と思ってるでしょ。だって俺、彼氏だから。って思ってるでしょ」 ぶすぶすとシェイクにストローを突き刺しながら茅ヶ崎が言う。 「バカじゃないの? 当然なわけないじゃん。あんたはまだ彼氏(仮)だよ。女王様には言わないけど、女王様のクラスではみんな(仮)の認識だよ。周りだってそうなんじゃないの?」 「…クソうぜぇ」 「女王様と付き合って王様にでもなったつもり?」 「黙れよ」 「女王様ってさぁ、確かにちょっと惚れっぽいとこあるんだよねぇ。押しに弱いって言うか? だからどうせちょろいと思ってたんでしょ。告白して付き合えればすぐに自分のこと好きになるとでも思ってたんでしょ。バッカだねぇ~」 あはは、と場違いなほど明るい声で笑う茅ヶ崎。 俺はその姿にちょっと恐怖を覚えていた。 「柳木くんも女王様も認識してなかったみたいだけど、僕たちは女王様を狙ってる1人として前からあんたのこと知ってたよ」 「え」 声を上げたのは俺。 知らなかった。 茅ヶ崎は俺を見てにこりと微笑む。 「けどま、見てるだけで何もしてこなかったし? 安全牌に入れてたんだよねぇ。それが告白までして押し切って付き合うとはねぇ、思ってなかったからびっくりぃ~」 けらけら。 茅ヶ崎はずっと笑っている。 衛宮はそんな茅ヶ崎を射殺すような目で見ていて、俺はハラハラしっぱなしだ。 心臓に悪い…。 口の中がカラカラに乾いている気がしてるけど、体を動かすのが、腕一本でも…何だか躊躇われた。

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