16 / 55
第二章 初めてのキス
それからの蛍の日々は、激変した。
一日三食、ちゃんと摂る。
毎日、お風呂に入る。
朝昼夜の体内時計が、整う。
そんな基本的な生活習慣が、次第に身についていった。
もちろん、等の働きによるものだ。
「蛍、朝だぞ。朝食は、何がいい?」
「蛍、一緒に昼ドラ観ようぜ」
「蛍、そろそろ寝ないと明日に響くよ」
こんな声かけはもちろん、蛍が動きたくなるような仕掛けも打ってあるのだ。
食事は和を好む蛍だが、等はあえて見たことも無いような異国の珍しい料理を用意する。
勧めるドラマは調べてみると、著名な脚本家や演出家の手掛けた作品。
寝具は常に清潔で、シーツもパジャマも毎日洗濯してくれる。
「今日のお風呂、すごかったよ」
「気に入った?」
バスタブに、たっぷりのバラの花びらが浮かべてあることもあった。
ともだちにシェアしよう!