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33-2
抗わずに服を脱がされ、さきに浴室に入る。
お湯の温度を確かめているうちに孝弘が入ってきて、後ろからぴったり抱きつかれた。
肩に顎を乗せられて、密着した背中が孝弘の心音を拾った。すこし速い。
「ドキドキしてる?」
「してるよ、祐樹の裸みて、興奮しないわけないじゃん」
すこしほっとした。
明るい場所で裸を見られたのは初めてだ。
熱のこもった視線に祐樹の心音も速くなる。
ざあざあと前からシャワーの湯をかぶりながら、口づけられた。
何度もキスを交わす間に孝弘の手が湯を止めて、ボディソープのポンプを押す。
山盛りにした泡の両手で、洗いっこしようと誘って祐樹の体に泡を塗り広げた。もこもこした感触がくすぐったい。
祐樹が泡だらけの手を孝弘に伸ばすと、楽しそうに笑い声をあげた。
孝弘の子供のような素直な笑顔にうれしくなって、泡だらけになって触りあった。
口づけを交わしながら、孝弘の手が祐樹の全身を味わうように撫でていく。そのうち、孝弘の手が怪しく動いて祐樹の感じるポイントを拾い始める。
泡のなかで祐樹の体がぬるぬると揺れた。
くすぐったくてふわふわしていて、でもそれだけじゃない触り方で孝弘の手が肌をすべる。
「これ、気持ちいい?」
「ん、気持ちいいよ」
ささやかな胸の突起を撫でられて素直に答えたら、きゅっとつまんだり捏ねたりしながら腰を押しつけられた。
同じ程度の興奮具合で、こっそりほっとする。
孝弘が自分に欲情することはわかっていたが、ここまで明るい場所で体を見せ合うのは初めてだ。
泡だらけの手で握ったら、促すように孝弘の腰が揺れる。
「ヤバい、すげー気持ちいい」
孝弘の素直な声に、ふっと緊張がほぐれた。
心配なんかしなくていいのだ。
「一緒にしよっか」
孝弘の手が伸びて来て、互いの手で愛撫しあう。
タイミングや力加減が自分でするのとはすこし違って、それがもどかしさを呼ぶ。
祐樹が我慢しきれずに言葉でねだるまで、孝弘は容赦なく祐樹を追いつめた。
「ああっ、もういや、あ…っ。やっ、あ、あーっ」
びくびくと腰を揺らして孝弘の腕のなかで祐樹が達した。孝弘は脱力した体をきゅうっと抱きしめてバスチェアに座らせた。
「すげーかわいい。大好き」
短く息をつきながら、祐樹は目元を染めて孝弘をにらむ。
すこし涙目になっているのは、さんざんじらされたせいだ。こんなふうにされたのは初めてだ。
「……なんか、意地悪だった」
「ごめん、あんまりかわいくて」
なだめるように髪に何度もキスされて、孝弘に髪を洗ってもらって、ぬるめのシャワーで全部きれいに流された。
「おれもしたい」
「じゃあ、シャワー上がってからしてよ。もうのぼせそう」
浴室を出て、とりあえず冷蔵庫から缶ビールを2本取り出し、裸にタオルを巻いただけで、ふたりでごくごくビールを飲みながら休憩する。冷たいビールが喉を滑り落ちて、ふうっとため息をついた。
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