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 孝弘は欲のこもった目で祐樹の体を眺めている。今さら体を見られるくらいなんてことないと思うのに、射貫くような強い視線に羞恥を感じた。孝弘はまだ昂ったままだ。 「続きしてもいい?」  孝弘の誘いに、祐樹は触れるだけのキスを返した。  手早く敷いた布団のうえで、祐樹は孝弘をおさえて上になった。孝弘は楽し気に祐樹を見上げてリラックスしている。  それを感じ取って、祐樹は孝弘の体に次々に唇を落とした。じょじょに下に降りていき、昂ぶったものに口づけて唇に含むと孝弘の手が髪を撫でてくる。  視線を上げたら孝弘は眉間にしわを寄せて、色っぽい吐息をついた。 「祐樹、エロ過ぎ」  悔しげな響きに微笑んで、祐樹は熱心に孝弘を舌で愛撫した。  孝弘が喘ぐ息づかいや時々漏れてくる声にも煽られる。自分が相手に快感を与えているのがうれしい。 「よすぎて、もたないんだけど」 「いいよ」  ちゅっと滑らかに張り出した先端に口づける。  素直に反応してくれるのが嬉しくて、ますます熱心に舌を絡ませた。 「このまま出していい?」  堪えきれなくなったのか、孝弘が腰を揺らして祐樹の喉を突いてくる。いいよと言う代わりにつないだ手に力を込めると、何度か奥を突かれた後、動きが止まった。  どくどくとあふれてくるものを祐樹が飲み下すと、「出していいのに」とすこし慌てたように言う。 「べつに平気だよ?」  祐樹が微笑むと「なんかすげー照れるわ」と孝弘が口元を手で覆ったのがやたらかわいかった。  自分から仕掛けるのは平然としているのに、祐樹からされると照れるようだ。 「ありがと、祐樹。気持ちよかった。次は俺が好きにしていい?」  祐樹がうなずくと上下を入れ替わった孝弘がやさしく触れてくる。  ローションで濡らした指が差しこまれると、思わず体を絞ってしまう。  孝弘は壊れ物をあつかう手つきで焦らずに祐樹の体を拓いていく。そっと確かめるように敏感な内壁を探られ、同時に乳首を甘噛みされて、びくっと体が跳ねた。 「あ、あっ、孝弘……それ……っ」 「ああ、ここがいい?」 「ん、気持ち、いい……」  孝弘のすこし高い体温を感じて祐樹の熱もぐんぐん上がっていく。 「かわいいな、めちゃくちゃ興奮する」  情欲のにじんだ声で囁かれ、じゅうぶんにほぐされて、ほてった体を持て余す。指だけじゃ物足りない。  孝弘のほうも限界らしく、膝裏に手をかけられた。 「もう入れたい」 「うん、おれも欲しいよ」  ぐっと押し入ってくる感覚に祐樹はふっと息を吐く。  目を細めて笑った孝弘がゆっくり体を繋いできた。  硬く熱いものに貫かれ、うっとりと孝弘を見上げる。目線を合わせたまま抜き差しされてどうしようもなく感じた。  やわらかく絡みつく感触に、孝弘が呻くようにこぼす。 「やばい、祐樹の中、よすぎる」  すこし眉を寄せて快楽をこらえている表情が、不機嫌そうに見える。懐かしいと思う。  学生時代の孝弘はよくそんな顔をしていた。懐かしい表情にうれしくなって笑うと、ますます不機嫌そうになる。

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