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第六話 日常 /1
世間ではこのような存在を『彼女』と呼ぶのだろうか。アパートの近い女は時折、学校帰りに匠を街へと誘う。
女の望み通りに腕を組んで街を歩く。女は喫茶店や雑貨屋へと匠の腕を引いていく。
カラオケをして、ゲームセンターでぬいぐるみを取り、夜になると匠の家で食事をとる。
遅くに彼女を家まで送っていく。誘いに応じて一夜を明かす事もある。
毎日共に学校へ通うようになり、女は教室で冷やかされるとまんざらでもなさそうな笑みを見せる。
女に情は持っていない。ただ、側で過ごすことを許しただけ。
だが、女は匠への好意を言葉にした。
好意を返せないことが、ただ遣る瀬無い。
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