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みんなでお風呂編 1

「そういえばさ~。みんなで一緒にお風呂入ったことないよね~」  弟の椿木が何気なく言ったその台詞に、俺は風呂上がりに飲んでいたお茶を吹きこぼした。 「げほっ……えほっ……、お前……何言ってんだ?」 「温泉とかさ~。一緒に行ったことあるけど一緒に入ったことないでしょ? 今はともかく小さい頃はあってもいいはずなのに、記憶にないし~」 「まぁ、確かに……」  椿木はテレビの温泉特集を観ながらどうでもよさげに呟いた。  温泉にはよく連れて行ってもらった。と、いうのも、白母さんが温泉好きだからだ。今でこそ母さんとは入らないけれど、小さい頃はよく一緒に入っていた。しかし父さんとは入った記憶がない。  行きつけの温泉には家族風呂なものもあったけど、みんなで入ったことはなかった。 「え? 入ったことあるよ? 菖蒲君入れて五人で」 「「は!!?」」  煎餅をばりばりと頬張りながら、母さんは俺たちの会話に突っ込んだ。夕飯も食ったというのに、この人の胃袋はどうなってんだ。宇宙か。  そんな母さんの横で新聞を読んでいた父さんは、ピクリ……と、僅かに動いた。 「白……」 「確か、露草と菖蒲くんが三歳で、椿木が二歳の頃だったかな。菖蒲くんがお泊りに来ていたから一緒にお風呂に入ることになったんだけど、一人で三人は少し大変だったから帰ってきていた悠壱さんに一緒に入ってもらったんだよ」  全然記憶にない。 「まぁ、それ以来みんなで入ったこともないけどな~」  苦笑いをする母さん。  その横で、あからさまに嫌そうな表情になる父さん。 「なんかあったのか?」

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