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第三章・9

 腕輪。  銀の腕輪。  聡士がくれた、思い出の腕輪。  彼の代わりにと、一日腕につけていた腕輪。  あぁ、彼はずっとここにいてくれていたのに。  店を廻る時も、映画館の前に立った時も、パブで飲んだ時もずっとずっとそばについていてくれたのに。  彼が見ていたのに、6人もの見知らぬ男に抱かれた。  まるで彼へのあてつけのように、その体を開いて乱れ狂った。  僕は、彼を裏切った。  慚愧の念が生まれ、声もなくただ涙だけが静かに流れた。  そしてそのままくずおれ、ついに意識を失った。

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