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第11話

彩吏side むいちゃんの気が済むまでそこでみんなの会話を聞いていた…。でも、そろそろ眠たい…。発情期が終わったばっかりだし、発情期中はどうしても上手く眠れなくて睡眠が足りなくなるから、終わった後数日は眠気に襲われる… 話しかけても来ないし、こちらとしても話す事はないから帰りたい。帰っていますぐベットに入って眠りたい…… 「……むい、ちゃ………ん…」 むいちゃんのことを呼ぶので精一杯…。眠気に耐えられず、倒れるように深い眠りの底に落ちていく……。 感じてはいけない発情期の時の身体の熱さを感じた気がするが…。これは気のせいだよね?……もう発情期は終わったんだから…。 ふっ…と、目を開けた…。そこは見慣れない部屋で、何故か安心するような香りに満ちていた。心地良くて溺れてしまいそうだ。 「…起きましたか?」 そんな声が聞こえた。振り向けばそこにはあの時の人…。とても綺麗に笑ってて、怖い人……。なんでこの人がここに居るの?パニックに陥りそうになる…。その人は僕に手を伸ばしてきて思わず近くにあった掛け布団を握りしめて中に潜り込んだ……。 「助けたのに酷いですね。そんな反応をするなんて…」 「………………そ、なの………?」 「ええ、そうですよ?」 「…………あ、り……がと………。……ここ、…どこ……?」 「私の家です。…貴方がオメガだったとは知りませんでした。体調は平気ですか…?急に甘い香りがして驚きました」 ……発情期終わったはずなのに。……えっ? 待って、今、彼はなんて言った……? "甘い香り" ……??…嘘だ。そんなわけ無い。僕には番がいるんだ…。 オメガ特有の甘い香りがするわけ無い……。 だって、今の僕からその香りを感じ取れる 唯一の可能性は……… 「……嘘だ…………………。僕の、……運命の番……⁇……君が………?」 「……何を言ってるんですか?運命の番なんてあるわけ無いでしょ。番もいないのに首輪もつけずに出歩くなんて信じられない」 「………………僕、…番もち……。ほら…」 そう言って噛み跡を見せれば、彼は思考回路が停止したように動かなくなった…。そして悟ったのだろう。何故僕が、『運命の番』と言ったのかを……。 番もちのオメガの香りを感じられるのは、番と、運命の番の、どちらかなのだから……。

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