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第10話
彩吏side
嫌だ嫌だと思っても約束の日は来てしまう。明けない夜はないのだ。時間には逆らえないので仕方ない。支度をして、むいちゃんを迎えに行く。頼み込んでやっと着いて来てくれる事になった。
明日は休みだから一緒に甘いものを食べにいく。金曜は、ラストまで授業が入っていた。その授業が終わった後、指定されたとレストランへ行くと、僕を呼び出した人と、前に受賞されていた人がそこにいた。
「…あっ!宮伏 想先輩!?……え?なんでここに?…まさか、待ち合わせしてたのって宮伏先輩たちなの!?」
「…………う、ん…」
「とりあえず、中に入ろう〜。邪魔になっちゃうしね〜」
「あ、そうですね。入りましょう」
むいちゃん、二人のこと知ってたんだ…。ぼんやりとみんなが会話しているのを見ていた。僕に用事があるって言ってたと思うんだけど…。そう思いながら、晩ご飯を一緒に食べていた。……結局、話を一度も振られることなく食べ終わる。
「ねぇ、ねぇ、彩!いつ先輩たちと知り合ったの!?」
「……………え?……えー…っと……」
「…あの時は、とても驚きました」
「…」
「………あの時?…彩、また何かしたの?」
「…………」
「…すみません。…彩、少し言葉が足りなくて、誤解されることが多いんです。許してあげてください…」
あれは、僕か悪いの…?だって、あの絵は見てて不快だったんだもん…。本当ならもっと綺麗に描けるはずなのに、そう思ったら苛ついたんだ。
「いえ、"全然" 怒ってないですよ?」
「……………怒ってる、じゃん…。…………怖っ…」
「……」
僕の言葉に、より一層、綺麗に笑って見せる彼。本当に怖さしか無いからやめて欲しい。そんな風に怒られるのなら、来なければよかった…。そう心の底から思った。
ふいっと目を逸らすと、気まずい雰囲気が流れてて、とても居ずらい。これだから人と関わるのは苦手なんだ…。もう帰ってしまおうか…。立ち上がろうとすると、むいちゃんに止められる。見ればもう少し先輩?たちと話したいようだ。……仕方なく、僕もその場に残る…。
なんで僕呼ばれたんだろ……。
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