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一、運命的な失言①
俺が魔王に失言をしたのは、昨日。
それは、200年ぶりの国をあげてのめでたい祝日のことだった。
俺の住んでいる人口800人もいない小さな村、ウーケリッバ村で伝説の勇者の力を受け継ぐ人物が発見されたのだった。
そいつは、村を襲った怪物に剣を振り上げた瞬間、天から光輝く稲妻を全身に浴び、背中に勇者の印である聖痕を浮かばせた。
それが王都セーメノーリッバの王様の耳にまで届き、勇者の血を受け継ぐそいつは王都の城で伝説の勇者として訓練を受けることになった。
200年前に封印された魔王がもし封印が解けた場合に備えてなんだけど、まあこの200年平和だったんだから封印なんてそう簡単に解けるわけはないとおもう。
だけど最近、触手系のモンスターが増えだしたので、国中不安が広がっていたからそれを払拭させることはできただろう。
そしてその伝説の勇者の力を受け継いだのは、18年間ずっと一緒に過ごした親友だった――。
村にある唯一の酒場『ミギサイド』。
そこで俺たちは、明日王都に行く親友を偲んで大騒ぎした。
全然偲んでなかった。村中で盛大に飲みまくっていた。
伝説の勇者が生まれた土地ということで、王家から恩恵も貰えてこのクソ田舎も少しは栄えるようだ。
「それにしても、この一生童貞みたいなお人よしが伝説の勇者かあ」
「すえーげよなあ。俺も従者として王都に連れて行ってくれよ」
「王都から。いいなあ」
同い年の友人たちが酒を飲みながら浮かれた発言をする中、一人、爽やかなイケメンが嬉しさを隠しつつも頬を染めて縮こまっていた。
朝からずっと飲まされていたので大分酔っているのが分かる。
「リー、眠いならさっさと帰れ。明日早いんだろ?」
俺が額に手を伸ばして気づかうと、爽やかに笑った。
「うん。もう吐いて眠りたい。けど、グー達と最後の夜だからギリギリまで一緒にいたいんだ」
健気な事を言うけれど、俺はリーが居なくなって俺の天下になるのも悪くない。
リカルド・ヤマダ。
俺の親友であるとともに、この村で俺と争うぐらいのイケメンだった。
俺みたいなチャラくて遊んでそうな感じではなく、硬派で一途でさわやかなイケメンで、フレゼンタという美しい婚約者までいるらしい。
「しっかしすげーよな。リーが勇者だぜ。あの魔王を唯一封印できる力を持ってるんだぜ」
「その点、グーは顔はリーより良いかもしれねえけど顔だけだな」
「なんだと!」
酔っ払った友人たちが、ドッと一斉に笑いだした。
「お前、女なら誰でも抱いちゃうじゃん」
「働かなくても、村の女の家点々と渡り歩いてるしさ」
「いやあ……俺のばあちゃんと布団に寝てるの見た時、吐いたわ」
「確かに、それは見たくねえな」
こいつら、俺を馬鹿にして笑ってるが、残念だったな。
お前らの母ちゃんも大体全員抱いたぜ!
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