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第38話

春side 深呼吸をして郁のもとへ戻ろうとした時だった。 ナースステーションからナースコールの音が鳴った。 「冬城さん、パニック起こしてるって向かってあげて!」 という声がナースステーションから聞こえ、看護師の1人が俺のそばを小走りで通り郁の病室に入っていったのを見て、俺も急いで向かった。 郁はベッドの上で震えながらうずくまり、必死に呼吸をしようと肩を大きく上下させていた。 「冬城さん。聞こえる?大丈夫だよ。ゆっくり深呼吸しようね。」 看護師はそう言って郁の背中をさすり続けた。 「ゆーっくり、ゆーっくりだからね。」 俺はただ苦しむ郁を呆然と見ていることしかできない自分に苛立った。

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