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第53話

郁side 昨日はモヤモヤした感情のまま、布団に入った。 これがなんなのかもわからない違和感を感じてなかなか寝付けなかった。 結局、眠れたのは3時間ほどだった。 眠い目をこすりながら七時前に部屋を出てリビングに顔を出せば、スーツを着たお父さんがコーヒーを飲みつつこちらに目だけ向けた。 「おはよう、眠そうだな?昨日は寝付けなかったのか?」 「…おはよ……うん」 「眠れる時にしっかり寝ればいいよ。」 「うん。」 洗面所へ向かうとお母さんが洗濯物を洗濯機に入れているところだった。 「おはよ、お母さん」 「郁、おはよう。顔色悪いけど大丈夫?」 「少し眠れなかっただけ。大丈夫だよ」 「そう?」 「うん。」 顔を洗って歯を磨けばお母さんがタオルを渡してくれた。 「ありがと」 「朝ご飯は食べれる?」 「うーん、少し」 「ならおかゆでも作ろうか。」 「うん、ありがと」 お母さんと並んでリビングに行けば、お父さんが立ち上がり、「そろそろ仕事に行ってくる。」と言った。 「いってらっしゃい」 「いってきます。」 みんな仕事だし学校なんだ… ってことを考えたら、僕も早く学校行きたいけど怖い……そう思い溜息を吐いた。

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