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第58話

郁side 電話をしていれば、春の声が心地よくてうとうとしてしまった。春がそれに気づかないはずもなく、「明日会うんだし、そろそろ寝よ?」と言われた。 春の声をもっと聞いていたかったけど、眠気に耐えられそうもなかったので、電話を切って布団に潜った。 ………眠れない。 なんでだろって考えていると余計に寝られない。 春の声……聞きたい…… 体は睡眠を欲してるけど寝られないから、お腹をいっぱいにすれば寝れるかなーっと考え夕食を食べることにした。 一階に降りれば、もうすでにお父さんも帰ってきていた。 「…あれ?もう春くんとの電話終わったの?」 早かったね、というような感じでお母さんが言ってきた。 「うん、明日会えるし今日はここまでにしようって」 「そうか。明日が楽しみだな?」 「うん。」 「今日は唐揚げなんだけど…郁、食べれそう?」 「食べる」 「わかった。準備するから座ってて。」 そして、お母さんが持ってきてくれたお皿を受け取り3人で机を囲んだ。 「いただきます」 お父さんが言ったのにつられて、お母さんと僕も「いただきます」と言って食べ始めた。 食べるのも終わりかけの頃、眠くなってうとうととし始めた。 「郁?」 「…っあ、うん?なに?」 「眠いならそれ残していいから。先にお風呂はいっておいで?」 「…うん、そうする。ごめんなさい」 「謝る必要なんてないよ。わざとじゃないし、ね?」 「…うん。」 お母さんに言われた通りお風呂場へ向かった。

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