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第59話
春side
本を読み終わる頃には10時43分だった。
そろそろ俺も寝ないと明日眠くなるよなー。
…郁、寝たかな?
眠そうな声を聞くのは、提出物をやってなくて徹夜した時以来かも。ウトウトとしながら必死に課題に取り組む郁は可愛かった…
そんなことを思い出しながら「明日は郁に会えるんだ」というワクワクが抑えられずにいた。
「………早く…会いたいなぁー…時間の早送りとかできないかな………無理か。」
そんな独り言を呟いた途端、ケータイが震えた。
表示された人物に驚いてすぐに画面をスライドして電話に出た。
「も、もしもし!?」
「…は、る……」
声が震えていた。
「どうした?…なんで泣いてんの?」
まずは落ち着かせようといつもより優しい口調で話しかけた。
「…はる…っ……はるー……ぅ……っ……」
俺の名前を呼びながら時折鼻をすする。
「大丈夫。俺ならここにいるから。」
「…うぅっ……っ…はる…」
「ん?」
「…ずっ…と……こう…っ…してて…いい?」
「いいよ、俺が学校行くまでずっとこうしててあげる。」
「…あ……っ…ありがと…」
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