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第60話

郁side 夕食の途中で眠くなって、眠い体を無理にでも動かしてお風呂に入って。 その後、部屋に戻ってベッドに転がる。 今回はすごく眠たくて、布団をかける余裕なんてなく、電池が切れたように寝落ちた。 ゆっくり寝れそう。 そう思ったのに。 目が覚めてしまった。 時計を見れば2時間ぐらいしか寝ていない。 眠れない自分にイライラする。 何もできない自分に情けなく思う。 涙が溢れてどうしようもなくて… なぜだか春に電話していた。 「も、もしもし!?」 春は驚いた様子で出た。 「…は、る……」 声がうまく出なくて、カスカスで震えていた。 「どうした?…なんで泣いてんの?」 僕は無我夢中で春の名前を呼んだ。 どうしてか自分でもわからない。 ただ1つ言えるのは、ここに春がいてくれてすごく安心できてるってこと。 僕が泣き止んで落ち着くまで「大丈夫。ここにいるから。」と言い続けてくれた。 春のその言葉は魔法のようで、すごく落ち着く。 「…落ち着いたか?」 「……うん、ありがと…」 「いいよ……何かあった?」 「…怖い」 「怖い?」 「…自分が、怖い」 「何があったのか話してくれる?」 「うん……寝ようとしても…寝れなくて。イライラして…焦ってわけわかんなくなって…どうしていいかわかんなかった…」 「なんで寝れないの?昼間に寝すぎ?」 「バカっ。…そんな訳ないじゃん……」 「ご、ごめん。陽太さんには言ったの?」 「……」 「言えてないのか。」 「少しは言ったよ。」 「まだ起きてる?」 「お母さん?」 「そう。」 お母さんがいつ寝てるかなんて知らない。 けど、もうすぐ11時になるから流石に…と思いつつ、階段を降りるとリビングから明かりが漏れていた。 「…起きてる」 「少し電話変わって?」 「え?…あ、うん。」 リビングに行けばお父さんの姿はなくて、お母さんがソファに座ってコーヒーを飲んでいた。

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