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第81話
春side
片付けを終えた陽太さんも加えて、4人でテレビを見始めた。
見ているのはクイズの番組。4人揃って答えを言い合うけど陽太さんと郁は不思議な答えを連発する。
例えば「ウールは何の毛でしょう」と言う質問に2人揃って「「ヤギ!!」」と答えた。
その回答に了さんと俺は吹き出した。
えっ?と言う顔で陽太さんは了さんを、郁は俺を見て首を傾けた。
そして、「答えは!………羊です!これはヒント問題でしたね」とテレビで言っているのを聞いてみんなで笑う。
そんなほのぼのとした時間はあっいう間で、1時間の番組はもう終盤。
「風呂入ってくる」
そう言って了さんが立ち上がりリビングを出て行く。
「コーヒーでも飲もうかな。何か飲む?」
陽太さんにそう聞かれ、俺たちは首を横に振った。
すると郁も立ち上がって俺の正面に立った。
「どうかした?」
「ううん。」
そして向かい合うように俺の膝にまたがり抱きついて来た。俺の肩に頭を預け、まるで小さい子供のようだ。
「…どうかした?その体勢だとテレビ見えないだろ?」
先ほどのクイズ番組のように真剣に見ていないが一応聞いてみた。
「いいの。」
「そう?…なら別にいいけど」
郁の背中をポンポンと優しく一定の早さで叩いた。
陽太さんがこちらを微笑みながらこちらを眺めているのがわかる。
しばらくぼーっとバラエティ番組を見ていると、だんだん郁が脱力していくのがわかる。
「郁?」
声をかけた時には既にスースーと寝息を立てていた。
「寝ちゃった?」
横から陽太さんが声をかけて来た。
「そう、みたいです。」
「郁は昔から弱ったときによくそうやって正面から胸に収まる形で抱きついてくるの、知ってる?」
陽太さんにそう言われ、今までのことを振り返る。
「………あ、ほんとだ。確かにいつも弱ってる時だったかも」
「でしょ?甘えたい時に無意識にしちゃうのかもね?」
「そうなんでしょうね」
するとお風呂から上がった了さんがリビングに現れた。
「…寝てるのか?」
そう言いながら近づいて郁の顔を覗き込んだ。
「…安心しきった顔をしてるな」
微笑みながら郁の顔にかかった髪を少しだけよけた。
「春くんだからじゃない?」
「そうだな。」
「…そうですか?」
「うん、昨日も夜に何回か目が覚めてる感じだったし」
「えっ。」
「…春くん、その体勢キツくない?」
「大丈夫ですけど………とりあえず郁をベットで寝させて来ます」
「うん、そうしてあげて」
「はい。」
そして郁を抱き上げリビングを出た。
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