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第108話
郁side
お水を持ってきてくれた春は、さっきまでかけていたタオルケットを僕にかけてくれたり、熱ピタを探してきてくれたり、いろいろとしてくれた。
「部屋戻るか?」
「ううん、いい。」
「その体勢辛くない?」
「今は平気だよ」
「辛くなったらすぐ言ってな?」
「うん、大丈夫だよ。」
不安そうな顔で僕を見てる。
ぼーっとしていたら持っていたコップを落としそうになった。
「あっ!!…ぶない」
「…セーフ」
「…もう……セーフじゃないよ。セーフだけど。」
「?」
「…なんでもない。」
「…はーる。」
「ん?」
春に腕を伸ばせば抱き寄せて、先ほど眠っていた時のような体勢を取った。
「今度は甘えた?」
「ふふ」
「…まだ寝る?」
「ううん。起きてる。」
「そ。」
ふわふわとする中で春が困った顔をしてる。
熱があるとわかった瞬間、「あぁそっか。だから体が重いんだ」と理解出来てなんだか、すべてどうでもよく思えてきた。
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