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第107話

郁side 身体がすごく重い感じがする。 寝てばかりなのに春といれば寝てしまう。 ぽやーと瞼を開けているのに焦点が合っていない。 「郁、喉乾かない?」 「…ん、え?」 「聞いてなかった?喉乾いてない?って聞いたんだけど。」 ちゃんと聞いてなくて聞き返せば、笑いながら言い直してくれた。 「ぁ、ごめんね。…うん、何か飲もう?」 「ん。じゃあ、動くよ」 「うん」 春の上から降りて2人でキッチンへ行こうと思った。 その瞬間だった。 ふわっと身体が浮いた感覚の後に、目の前が真っ暗になって、気付いた時には春に支えられていた。 「…っ郁!?」 「…っ」 自分のでも何が起こったのか理解できなかった。 僕は…つまずいたのかな? でも足に違和感は感じなかった。 じゃあ、ふらついてこけただけ? あの身体が浮くような感覚は何? 「…郁?…郁!!」 「…ぁ…は、る…?」 「大丈夫!?」 「え、ぁ…ぅん。」 顔を上げれば、春は眉間にシワを寄せて、何か考えているようだった。 「………郁、体温計どこ?」 「えっ、体温計?…あそこだけど」 脇にある棚を指差した。 「一回座って」 「うん?」 僕の指を指したかあたりから体温計を取り出して来た。 「とりあえず計ってみて?」 「…うん」 ピピッと鳴ってみてみれば「あー、やっぱり?」と春が言った。 「…37.8?……気づかな、かったなぁ」 「寝てたから体温が温くなったのかと思ってたけど、熱あったんだな。気づけなくてごめん。何飲む?」 「み、水」 「ん、わかった。」 自分でも気付いてなかったのに春は気付いてた。 ほんとに春は僕以上に僕のことを知ってるなぁって改めて思う。

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