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第200話

郁side 朝からお腹の張りが少し気になりつつ、いつも通り春を仕事へ送り出し、まぁ大丈夫だろうと油断していた時だった。 じわじわと迫ってくる痛みに、これが世に言う陣痛の始まりなのかもしれないと焦ってお母さんに連絡をした。 連絡を受けたお母さんは、仕事を早退して駆けつけてくれた。念の為早めに病院にも連絡を入れ、痛みの感覚が狭まってきたら来てくださいと言われた。 春にも連絡をしたが、今日の仕事は抜けれないのだとしょんぼりしたスタンプと共に返事が来た。 「初産だもの。春くんが帰ってくるまでまだ時間はかかると思うけどね」 母の言葉に絶句しながら、楽な体制でゴロゴロと過ごす。 数時間。 痛みと落ち着いた時間を繰り返し、感覚が短くなってきたところで病院に向かった。 病院についてすぐ破水し、初めての経験でパニックになった。 お母さんが隣で「大丈夫、大丈夫」と繰り返してくれることで何とかすこしだけ冷静になれていたが、痛みが継続的に続くようになってからは周りなどみる余裕がなくなっていた。 いつの間にか春も駆け付け、汗を拭いたりしてくれていた。 痛すぎる。 けど、早く我が子に会いたい。 しんどい。 そんなことを考えていると、大きな産声が聞こえる。 周りにいるみんなが「おめでとう」と祝福の言葉を述べてくれる。 看護師さんが産まれたばかりの赤ちゃんを頭の横へ下ろしてくれる。 「郁、ありがとう。これから3人でがんばろ?」 「うん」 真っ赤なほっぺたをつんつんと撫でる。 「僕らの所に生まれてきてくれてありがとう、景(ひかり)」 2人でギリギリまで悩んだ名前を告げた。 色んな景色をみて、明るい未来を照らす人となってほしい。 これから先、大変なことがたくさんあると思うけど。 でも今までに比べれば、笑って乗り越えられる気がする。 end

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