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第199話
郁side
そんな今日は日曜日。
カーテンの隙間から差し込む日差しが眩しくて目が覚める。
2人で寝るベットは大きい。けれど引っ付いて眠るのが癖になっているので、あまり大きさは関係ないような気もする。
うっすらと重いまぶたを開けると、いまだに夢の中の春が目の前にいた。
昨日も出勤し、クタクタになって帰ってきた春の姿を見ている。もう少しだけ一緒に寝ようと、またまぶたを下ろす。
美味しそうな香りに誘われて、2度寝から目覚めた。
春より早く起きて朝ごはんを作ろうと思っていたのに、本格的に寝入ってしまったよう。計画が台無しだ。
最近はとくに眠たくてしかたない。
寝室の扉を開けると、その音に反応した春がこちらに声をかけてくる。
「もう少しでできるよ。顔洗っておいで」
「はぁーい」
返事をしつつ、春に近づく。
春の背後から抱きついて、頭をぐりぐりと押し付ける。
「ん?なに?」
「んー、春エネルギーをチャージしてるの」
「そう」
満足してから、洗面台へ向かう。
顔を洗って、歯を磨く。
リビングにまた戻れば、机の上には美味しそうなホットケーキ。
席に着くと春が僕の前にココアを出してくれる。
春は自分のカフェオレを手に席に着く。
「「いただきます」」
朝食を食べながら、今日の予定を確認する。
「11時に車で迎えに行くのでよかったよな?」
「うん、あってるよ。お母さんが楽しみだーって言ってた」
「それを言うなら郁も、だろ?」
「うんっ」
妊娠発覚後、だんだんと悪阻の症状がではじめて、酷い時には点滴を打ってもらいに病院へ通っていた。
そんなことがありつつも徐々に落ち着いていき、たまに吐き気を催すことはあるが当初に比べればその回数も少ない。
なので今日はお互いのお母さんたちと車で1時間くらいの所にあるショッピングモールへ春の運転で買い物に行くことになっていた。
動けるうちに必要なものを買い揃えて置こうというわけだ。
お腹が大きくなるにつれて、動くのも大変になってきている。春が家事などやってくれるのがほんとにありがたい。
朝食を終え、ゆっくりとした動きで準備をしてのんびりしていると家を出る時間が時間が来てしまう。
車に乗りこみ、それぞれの実家で母をひろう。
車内では名付けの話や、何が必要かと話が尽きない。
ショッピングモールに着き、目的の店舗へ向かう。
カラフルな洋服、哺乳瓶などの小物類。
どれも目を引く目のばかりで、どこから見ていこうか迷ってしまうので、お母さんたちに着いていく。
春もどれがどれかキョロキョロするばかりで、こんな姿を見るのは初めてだった。
「春、大丈夫?」
「あぁ、大丈夫だけど、母さん達呼んでよかったな。」
「ほんとだね」
コソッと話しているのを2人の親は「何、他人事みたいにしてるの?」と言われてしまった。
ひとつ選ぶのも悩んで、沢山あっても困らないものはあれこれとすぐに決まっていく。
最終的にカゴにはこんもりと商品が入っていた。
買い物終わりにお礼も兼ねてカフェに入り、パンケーキをご馳走したところ、2人にはとても喜ばれた。
帰りも行きと同様に、これから役立つ知識を教えてもらう。
家に着いて、春が全ての荷物を下ろしてくれる。
「疲れただろうし、休んでいいよ」
春も僕と同じくらい疲れているだろうにそんな声をかけてくれる。本当なら手伝いたいが、疲れてクタクタなのは事実なので「ごめんね」と甘えることにした。
テキパキと動く春を横目に、ソファに腰かけると疲れがどっと押し寄せる。
「洗えるものは洗っておくよ?」
「ありがとう、お願い」
春は相変わらずほんとに優しい。
絶対かっこいいパパになる。
春が我が子を抱っこする姿を思い浮かべながら、お腹を撫でた。
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