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第151話

郁side 一人でいることは心細くて、うろうろと体を動かしていないと落ち着かない。 待つと言ったのは僕だ。 だからちゃんとここにいなきゃ… カタンと物音がして驚き後ずさる。 「ごめんね?驚かせちゃった?……冬城郁くん、だよね?」 そこにいたのは、この間春や真羽、俊と一緒にいた人。 後から春に『今日、転校してきた赤井未亜さん』だと聞いた。 「えぇ、っと…うん。」 なぜ僕のことを知っているのか、頭の中が混乱していて考えれない。 「私は赤井未亜っていうの。春くんからあなたのこと聞いて、お話してみたかったの」 春から聞いたのであれば僕の現状も知っているはずだ。 これ以上僕に近づかないで……!! 「あ、えっと、怖がらないで。」 「……」 怖い、気分が悪くなってくる。 「一つだけ、聞かせてくれない?これで終わりにするから」 ひとつだけなら…そう思い震える体を押さえてうなずく。 「あのね、はっきり言うけど……春くんと釣り合ってないんだよね。」 何をこの人は言ってるの? 春と釣り合ってないなんて僕が一番分かってる。 何が言いたいんだろう。 この人は僕に何を話したいの? 「…」 声を出そうにも震えてうまく出せない。 「何?言いたいことがあるなら、はっきり言って?うじうじしてるのは嫌いなの」 突然強気になった赤井さんに対して警戒心しかない。 「…は、春は、そんなこと気にしない……」 「だから?…私は周りがそう思ってるって言っただけ。」 「あ、そうそう!郁くんのことでうわさ、聞いたんだけど、ほんとなのかなー?って気になってたんだ!」 わざとらしい言い方をして、気味が悪い。 「…なっ、の話?」 「えー、ほんとに言ってもいいの?」 「あ、あなたが僕のことで気になることがあるって…言ったから」 「ふーん。後悔しても知らないよ?もし郁くんが本当だと言ったら、明日ね、みんなに本当のことを話そうかなって思ってるの。それでもいい?」 「そ、それは内容によるけど……」 急に近づいってきたと思ったら、耳元に顔を寄せて小さい声だがはっきりとこう言った。 「高校の人から『レ・イ・プ』されたって話なんだけど…」 驚きと恐怖で体が固まって動けなくなる。 「その反応じゃ、肯定しているようなものだけど?」 「………ぁ…」 頭の中はパニックだ。 呼吸が浅くなっていくのがわかる。 なのにどうしようもできない。 「ね、ちょっとだけさ、あそこに入っててくれない?」 そういって掃除道具の入ったロッカーを指さす。 「…い、や………」 声を振り絞るが、僕の背後に回った赤井さんは目隠しをして、抵抗する間もなく、僕の手を後ろで縛る。 「じゃあ、ここで待ってて。喋ったら明日全校生徒に言いふらすから」 カタカタと震える自分が情けない。 大声を出そうにも震えて呼吸もまともにできているかさえわからないに無理だ。 こわい… あぁ… こんなことなら、春に付いていけばよかったかな……

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