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第7話 再びの快楽【R-18】

「なあ、駄目か。またしたい」 「え、ええ」  西園寺が真っ直ぐ晃を見つめながら誘う。  その誘いを受けた晃は明らかに困惑した表情を浮かべた。 「しょ、食事のことを心配してくれるのか。だから、お前のお陰で暫くは大丈夫だから」 「そうではない。単純に、またお前とセックスしたい」 「……っ!?」  かあ、と仄かに晃の目が期待に潤み始めたのを西園寺は見逃さなかった。晃は自らを抑圧するように、ぎゅうっとネクタイを握りしめた。 「だ、駄目だって。この前とは違って、まだ日は高いし……先生だって、いつ帰ってくるか」 「先生は会議だろう。今日は教師の全体会議だ。なかなか終わらないと評判なのは知っているだろう」  西園寺は、そもそも保健室で事に及ぼうとまでは言っていないが、晃はここですることを想像しているようだった。晃は少しの間逡巡したが、人より性に貪欲なサキュバスのさがか、それとも西園寺と過ごした夜の記憶が誘惑したのか、晃は結局は頷いた。  西園寺は本当は放課後に家にまた招くつもりだったが、気が変わらないうちにと晃と共に保健室内にブースのように区切られたベッドのある場所へと移動した。  シャッと分厚いカーテンを締めれば、ちょっとした小部屋があっという間に出来上がる。二人きりの空間へと入り込むと、西園寺も晃も、すっかり官能的な気分が頭を支配した。 「こ、この前みたいにあんまりたくさんはできないぞ……」 「ああ、その代わり、ゆっくりするぞ。あまり音も立てられないしな」 「ああ……」  少し硬いベッドに二人して腰掛けると、ネクタイを外して、ベッドの足元あたりに置いた。 「キスしてもいいか」 「ど、どうぞ」  西園寺が声をかけると、緊張したように晃は身体をこわばらせる。晃の目元の眼鏡をさっと外してサイドチェストに置くと、西園寺は唇を食むようなキスをした。  ちゅっ、ちゅう、ちゅっ……と、恥ずかしくなりそうな可愛らしい音がカーテンの中の空間で響く。晃は、てっきり初めてキスされた時のような、深く舌を絡ませるようなキスをされると思っていたので、面食らう。しかし、まるで愛情深く触れ合うようなキスは、また新しい快感を晃に覚えさせた。  キスの度に、顔を離してお互いに表情を確認しあう。丁寧に繰り返されるキスの合間に見る表情は、徐々に甘い快楽にとけていった。  ぷちぷちと晃は我慢できずに制服を寛げていく。あらわになった上半身の、下の方、腹のあたりはまだそれほど深い接触をしていないにも関わらずサキュバスの文様が淡く輝いていた。 「キスが気持ちいいか」 「うん……気持ちいい……なあ、胸、触って」 「こうか」 「んっ、あん、そ、そう……先端を摘んで引っ張って、ひゃ、あ、あん」  西園寺は言われた通りに胸を触ると、気持ちよさそうな声が晃の口から発せられた。この顔だ。快楽を感じている晃の顔が、かわいらしく思える。  最初は柔らかかった乳首の感触が、次第にかたくなっていくのも楽しい。晃の乳首の色は、綺麗なピンク色だ。形もよく、感度も高い。西園寺は夢中になって乳首をコリコリとこねた。 「んっ、んんっ、あっん、西園寺ぃ……きす、きすしたい、舌入れるやつ」 「口開けろ」 「ん、あっん、んちゅっ、んむっ……!」  ぴちゃぴちゃと舌を絡ませ合い、甘い唾液の味を堪能する。本当に、晃の唾液は甘さがある。西園寺は、もっと味わいたいとぐいぐい晃の身体を押していく。自然と、晃の身体はベッドの上へと倒れこんだ。 「きもちいい……早く西園寺のが欲しい……腹、熱くなって……」 「光ってる」 「身体が……男の物を受け入れられるようになったっていう、サインなんだ」  ずるりとズボンを脱ぐと、洪水でも起きたかのようにぐっしょりと濡れた下半身があらわになる。この光景には、流石の西園寺も息をのまずにはいられない。ひくひくと開閉する穴は、早く来て欲しいとねだるようだった。  あまりすぐ終わってしまうのも、と西園寺は思うが今日は保健室での行為のため、時間はかけられない。それに、すでにキスのみで興奮しきったペニスが、解放を求めていた。  お互い全裸になって、体勢を整えると、ゆっくりと体を繋げ始めた。 「はっ……あ、くう、やはり……いいな……」 「ああーーーっ……くる、きてる……!」  ぎゅうっとシーツを握りしめ、快感からくる悲鳴を晃は耐えた。  温かい体内に埋め込んだペニスは、濡れた感触に今にも絶頂しそうな感覚を覚えるが、西園寺はなんとか耐えきった。  西園寺はカーテンの後ろを気にしながら、きわめてゆっくりとペニスを引き抜いていく。エラが穴の縁あたりをかすめると、晃の「抜いてしまうのか」と言いたげな極めて焦った表情を目にした。西園寺はそのまま腰を叩きつけるように奥を突くと、晃がのけぞりながら声にならない声をあげた。 「〜〜〜〜〜!!?」  ぴゅるるっとその勢いで晃のペニスから精液が噴出され、西園寺の胸板に跳ねた。幸いベッドには落ちなかったが、汚れてしまったらどうしようかと考える。 「い、いっちゃった……あ、シーツ……」 「汚したらやはり怒られるか」 「大丈夫……ここ、ランドリーあるし……鍵も持ってる……」 「汚しても大丈夫ということか」 「んっ……終わったら、シーツ洗おう、一緒に……」 「分かった……!」 「あっ!!」  打って変わって激しい動きになった西園寺に、晃は抑えきれなくなった声で焦りを口にする。あんまり大声を出すと、廊下まで響いてしまう。人通りが少ないとはいえ、絶無ではないのに。 (可愛い。可愛いな……なのにどうしてこいつはいつまでも卑屈なんだ)  西園寺は茹だった頭でそう考える。今の西園寺の下で雌猫のように泣く晃を見れば、どんな男でも虜にできそうなのに。だが、やはりこの姿は誰にも見せたくはないと思った。 (エネルギーが切れたら、また獲物となる男に抱かれるのか。頑なに、妙に俺を神聖視する幡山なら、俺の元には来ないかもしれない) 「あっ、あんっ……西園寺ッ……そこ、そこ気持ちイイ……っ」 「幡山、これからも定期的に、俺としないか?」 「へ……?あ、ひゃ、うんん……ッ!」  激しく抱かれながら問われた台詞に、やや正気に戻った晃が戸惑うような目を向けてきた。 「そんな、お前が、俺なんかと……」 「だから、なんかなどと言うな」  身体を近づけて晃に口付けると、再び深い快楽にとけはじめる。どうしようもなく卑屈とはいえサキュバスである、本能がむき出しになった状態で、淫らな約束事を持ちかけられて断るほどの理性は今の晃にはなかった。 「うん、うんっ!する、する、いっぱい西園寺とエッチする……!」  言質をとったことを確認すると、今度こそ本当に西園寺はお互いの快楽を追求することに集中し始めた。  そして、たっぷりと甘いひとときを楽しみ、お互いに絶頂を迎える。晃のアメジストのように光る瞳は、満たされたように淡く輝いていた。

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