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第5話 エピローグ

 うちの両親は変だ。  毎日口喧嘩してるし、仲良くもなんともない。  夫婦って感じが全くないのに、セックスする。  直ちゃんは、パパじゃないとだめだからって言う。  パパは別に直ちゃんじゃなくてもいいんだけど、直ちゃんで不足もないし面倒もないからって。  そんな両親だけど、俺は愛されてる。  直ちゃんは態度がデカイけど、その分パパよりは長い時間一緒にいるし、直ちゃんの愛情表現はわかってる。  どんな言葉遣いしてたって、俺を思いやってくれてる。ツンデレって奴だ。直ちゃんはそんな感じ。  一方パパは、ベータもアルファもオメガも、人間が嫌いって公言してる。  だから、血の繋がった息子の俺も、嫌いなのかな?と思えばそうでもないらしい。  直ちゃんはパパにとって例外。アルファの遺伝子を持ちながら、オメガの体を持ってる直ちゃんは、中途半端でそこがいいんだって。  アルファを組み敷きながら、オメガを犯してる気分にもなれるって。  俺は、この身にパパの血を引いているからパパは俺を愛してくれている。  それに、なんだかんだ言って家族サービスも結構してくれる。  温泉に泊まりに行ったとき、一緒にお風呂に入って色々話した。  俺が嫌い?って聞いてみたけど、いやぁ、別にぃ?と気のない返事を頂いてしまったが。  嫌いなら、連れてきてもくれないだろうと気持ちを切り替えた。  ちなみに、直ちゃんは?と聞いてみたら笑顔でぶん殴られた。理不尽。決して嫌ってるわけじゃないんだから、好きだって言えばいいのに。  けど、パパは言う。直ちゃんの事は愛してないし、好きでもないって言う。けど、夫婦だから、セックスもする。  ちなみに、どうしてこんなに俺が両親の性事情とかに詳しいかといえば、直ちゃんもパパも俺に隠すということをしないからだ。  喧嘩の内容にもセックスの仕方がどうのなんてしょっちゅうだ。  そもそも、小さいときから直ちゃんとパパのセックスしてる場面を何度も見てきた。  いまさら、恥ずかしがってたりなんてできないよ。両親のセックス見たところで興奮も何にもしないけど、ただ一つ思うのは、パパは巷で言うところの、ゲスなんだなぁ、と思う次第で。  まぁ、でもなんやかんやで割れ鍋に綴じ蓋と言うか、あれでいて相性がいいことも知ってる。  息子の俺が言うのも変だけど、両親はベータと特殊なアルファな夫婦だけど、歪な二人のピースはピッタリ嵌ってまぁーるくなって、こう言うのを運命って言うんじゃないかって、俺は思う。 「思うんだけどねぇ……」 「あ?帰ってきたのか、知幸」 「あっ、いやぁ!」 「リビングでセックスするのは、流石にやめてほしいかな?」  この節操のなさをどうにかして欲しいと思う子心は、やっぱり伝わらないと思う。  嫌いじゃないけど、愛情も注いでもらっている自覚もあるけど、何となく前途多難な気がする。  END

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