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一、最悪最低な①

*** 「はー。まじだるい。だるすぎる」  四月某日。  次の日が一年生の入学式のため、体育館にパイプ椅子やら長机を運び、設営を完了させ、あとは花が届いたらステージの上で教卓の横で整えるのみ。  華道部部長である僕は、生徒会長に頼まれ生花が届き次第、花を活けてほしいと頼まれていたので待機中。  親友の利圭は、バイトがばれて罰として入学式の設営の手伝いと、僕の補助。  けれど生花がなかなか届かないので、お昼前に帰られると思っていたのが、お昼を跨いでしまった。  二人でコンビニのおにぎりを買い、新作の漫画を空き教室で読みながら待ってはいるが、暇でしょうがなかった。 「てかさ、あの生徒会長、まじで俺だけ目の敵にしてるんだよなあ。金持ちのくせに、Ω差別とか、だっせえの」  元々髪の色素が薄く、茶色い髪のせいで先生や先輩から目を付けられることが多い利圭は、開き直ってやや非行に走ってはいるが良い奴だ。  長距離トラックの運転手である父親がほとんど留守で放任主義のせいで、地毛証明書もなかなか提出してくれなかったせいで、悪目立ちしたし。 「生徒会長はそんな人じゃありませんよ。僕にはそんな素振りみせてません」 「はあ。じゃあ俺が嫌いってことだろ。嫌な感じ」  確かに生徒会長は、利圭にだけ口調が厳しい。  彼みたいな品行方正の優等生には、利圭はきっと目についてしまうんだろうな。 「まあどうでもいいいって。てか、新作の漫画、すっげえ良くてさ。運命の番に会うんだけどさあ」  利圭が目を輝かせ、まだ僕が読んでいない新巻のネタバレをしてくる。  が、楽しそうに話す利圭に嫌な気持ちにはならなかった。  利圭はどちらかと言うと、喋ると馬鹿がバレてしまうけど裏表のない良い奴で、クラスの皆に愛される性格だ。Ωだから容姿は注目を浴びるほど可愛いが、しゃべり方は口が悪いのでギャップがあってそこも愛らしい。  まだヒートも来ていないので、クラスメイトも保護者の気分で見守っているようだ。 僕も利圭と同じで、高校生になってもヒートが来ていないΩ。 家は華道の家元でそこそこ家柄もよく、親にはヒートが来ていないことを心配されつつも首輪は高校と同時につけるように言われてしている。 僕にヒートが来ていないのを知っているのは利圭だけ。 同じく、運命の番をテーマにした少女漫画が好きなことで意気投合し中学のころから、今日まで親友として過ごしてきた。

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