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その後、政実は大学生になって 金銭的に余裕のない俺は進学せずに 工場で働き始めた。 政実とは月に2、3回しか会えなくなった。 毎日の仕事で体も疲れていたし 精神的にも1からの人間関係に疲れていたのかも。 俺は政実に会いたくて、会いたくて ずっと政実の事ばかり考えていた。 いよいよこれは 政実に、ただの友達以上の思いを 抱いている。そう思った。やっと。 そんな風に認めたら、どんどん思いが溢れて 止まらなくなった。 今まで、何か理由を見つけては会っていたのを もう理由を作るのも面倒になって 「暇だから来た」 なんて言って家に押しかけたりするようになった。 政実はだいたい笑ってそれを 「ネギは暇だね~」 なんて言いながら受け入れてくれた。 そして今では、行かない日には連絡を入れるように なって、それ以外は毎日のように政実の部屋に 入り浸るようになった。 「俺も そろそろ一人暮らしできそう」 政実は大学に入ると同時に 一人暮らしを始めていた。 俺は高校の時にバイトして貯めた金では足りず 部屋を借りる事ができなかった。 「金貯まったの?」 政実の部家で、政実が作ったチゲ鍋を食べながら話す。 「というか、母ちゃんが急に頭金出してやるって 言い出して」 「そうなんだ、ラッキーじゃん」 「たぶん今の彼氏が羽振りいいんだ」 「新しい彼 できたんだ? しばらくいなかったよね?」 「おーそう言われてみれば めずらしく半年以上いなかったかも」 こんな話を笑って話せるのも政実だけだ。 普通なら俺への同情で聞き流して誤魔化すか。 蔑まれたり、哀れまれたり、 そんなのが ほとんどだろう。 「どの辺で探してんの?」 「まだ全然考えてないけど、やっぱ職場の近くかな でもあんまり近すぎてもやだし…どっかの駅の 近くかな?」 「この辺だったら、お互い行ったり来たり しやすいな」 近くに住めばいいのに…なんて言われて 嬉しくて勝手に顔が笑ってしまった。

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