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プロローグ
「ほっとけないんだよ」
哀れんでいるのだと思った。
同情してくれているのだと思った。
「αとかΩとか関係なくお前が心配なんだ。それは友達として当然の事だろ?」
けれど彼はどちらとも違って、ただまっすぐに俺と向き合っている。
なのに…
「αとΩが一緒にいること自体おかしかったんだ。俺は怖いんだ…αが怖いんだ」
震えた声で嘘をついた。
俺を信じて、友達だと言ってくれた彼に。
彼の顔は見れなかった。
もう…見る資格なんてないと思った。
「…もういいよ。今まで辛かったよな。大丈夫、俺が守ってやるから」
そんな言葉だけの口約束、信じられなかった。
信じたくなかった。
けど、優しく抱き締められてしまえばその腕の中で泣く事しかできなくて。
俺達はまだ子供だった。
あまりにも幼かった。
「俺は絶対お前を襲わない」
彼はまだ、"俺 "を知らない。
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