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episode 1
出会いは俺が中学の時、彼がマンションの隣の部屋に引っ越してきたことからだった。
そんな他愛もない出会いだったけれど、俺達はすぐに打ち解けた。
趣味が同じわけでもないのに、ただ一緒にいて他の誰よりも居心地が良い存在だった。
逢沢要 、17歳。
俺はまだ"発情期"を知らないΩだった。
特に恋心を抱いていた訳ではないけれど、いつしか彼は俺の中で一番信頼できる相手になっていた。
彼の名前は名倉凌 。
成績優秀、運動神経抜群、端正な顔立ちで誰が見ても完璧なαだった。
周りが放って置かないような人。
非力で暗い俺なんかとは全くと言っていいほど真逆な存在だった。
誰もが憧れ、羨む。俺もそのひとりだった。
12歳。
中学生になったばかりの頃、一度目の検査でΩについての説明を受けた。
発情期について。
αとΩの間だけで発生する"番"という強い繋がりについて。
そして、αの危険性について。
この頃の俺はまだαの恐ろしさを知らなかった。
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