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episode 16

優しく髪を撫でられている感覚がして、ゆっくりと目を開く。 目の開けた先には俺をじっと見つめる凌の姿があった。 「おはよ」 「……おはよう」 こんな風に甘い時間を過ごすのは初めてで、凌のとびきり甘い声と優しい微笑みに胸焼けしそうだった。 あ、と思い出したように項を撫でればほんのり痛みが走った。 「…そっか、俺ら…本当に」 「番になった」 ずっと望んで来た番に、凌となれたという事が心から嬉しくてひたすら頬が緩む。 凌もそんな俺を見て柔らかく微笑んだ。 「そろそろ飯にするか。何食いたい?」 「あ、待って…あのさ」 ベッドから降りてシャツを着ながら寝室を出ようとする凌を引き止める。 「ん?」 「…その、昨日さ…最後までしなかった…?」 腰には痛みもないし、違和感もない。 「当たり前だろ。お前お腹に子供いる事忘れたのか?」 そう指摘されて、お腹を擦る。 決して忘れていた訳では無いが、確かに良く考えればそうだ。 「ありがとう」 そう言って微笑むと凌は顔を背けた。 「いや…、俺が我慢できなかった。悪い」 背けた凌の耳が赤くなっているのに気づいて、微笑ましくも思いながら自分もベッドから立ち上がる。 「あ!俺フレンチトースト食べたい」 「おう、わかった」 明るくそう答えれば、「元気になったな」と言われて「凌もね」なんて返した。 周りの目なんか気にしない。 なにを思われようが、何をされようがずっと2人で生きていくと決めたんだ。

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