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第14話 ストーカーさんこんにちは 1

******** 最近、俺の尻が変だ。 今までは、ムラムラした時には100パーセントの煩悩が前に集中していたはずなのに。 ココ最近は結城さんに抱かれてみたい、と妄想する度に尻の中が きゅん と疼く。 連休中、奏汰はウチに入り浸っていてマトモにオナニーもできないし。かといって日曜以外も触らせてしまったら、なんとなく取り返しのつかない事態になってしまいそうで恐ろしい。 俺は確かに結城さんが好きだ。 なのに毎晩寄り添う奏汰の体温に、酷く興奮して眠れなくなってしまう事がある。 一時の気の迷いの真っ只中にいる奏汰を、こっちの道に引きずり込むなんてできない。 俺を好きだと言うのは構わない。開発したいっていうならそれも俺にとっちゃ都合がいい。だけどあいつが引き返せなくなる前に突き放してやらないと。 って思うのに日曜の開発の時間を待っている自分がいて・・・ だいたいバイトの休みが続いているのがわりーんだよな。結城さんに会えねーし。結城さんで満たされてた部分がぽっかり抜けて、そこにアイツが入り込んでくる。それが非常によろしくない。 とは言っても在学中に公認会計士の資格を取っておきたい俺は、そろそろバイトを辞めて勉強し始めなければ後がキツくなる一方だ。 ジムのスタッフは不足しているどころかアルバイトは皆シフトを削られている。辞めるなら今だと思うけど、結城さんと完全に会えなくなるのは嫌だしな。 俺がバイトを辞めたとして、それでも付き合いを続けてくれるような人でもない。それ以前に、彼にとって俺は ただの学生バイトで多少目障りな奴、くらいにしか思われてない存在だしな。 あ~ゼミにも真面目に顔出せって教授から言われてるし、色々とめんどくせぇ~・・・ 大学の帰り、夕飯を作ってくれるおばちゃんの厚意に甘えて、自宅ではなく中谷家のほうへと足を進める。 「こんにちは」 インターホンを鳴らそうと伸ばした手を掴まれ振り返ると、奏汰と同じ学ランを着たイケメン君と目が合う。 え、誰・・・? 奏汰の友だち? 「あなたですよね? 中谷が変わった原因」 爽やかな笑顔なのに、瞳だけはどことなく昏い印象。 「変わったって、見た目のこと?」 「白々しいな。ここであんたと中谷の関係、大声で話してもいいの?」 俺と、奏汰の関係・・・ まさか、嫌がらせしてたのは、コイツ? 「あんたの家に、俺も招いてくれるよね?」 「は・・・?」 何言ってんのこのガキ。 掴まれた腕を咄嗟に引こうとしたけどビクともしない。 「中谷の母親に、息子が男に入れ込んでますよって、教えてやってもいいんだけど」 そう言われて俺は唾を飲み込む。 だめだ。それだけは。 「言っとくけど知らねー奴に出す茶なんかないぞ」 「聞き分けはいいんだ? もっと手こずるかと思ったけど」 中谷家に背を向け歩き出すと、奏汰の友だちらしき男は俺の腕をようやく離す。 聞き分けがいいとかじゃない。面倒臭いのが嫌なだけだ。 自宅の玄関に入りドアの鍵を閉めた瞬間、初めて会った奏汰と同じ学ランを着たイケメン君に、後ろ手にガムテープでグルグル巻に固定されてしまう。 「何がしてぇんだよ高校生」 「そっちこそ中谷に何かしてるだろ。悪害なんだよ。部屋までとっとと歩け」 「初対面なのに生意気~。かわいくねぇな今ドキのDKは」 「年下だからってナメてんじゃねーよ! 不利なのは今あんたのほうなんだからな」 マジで何がしたいのかわからないけど、とにかく体格と腕力はコイツのほうが上だってのはわかる。とりあえず言いなりになって、隙見て反撃するしかないか。 高校生に従って階段を上り、自分の部屋の前に立ち止まると、両手が使えない俺の代わりにドアを開けた高校生に突き飛ばされ自室の床に倒れる。 「中谷と、毎晩ここで何してるわけ?」 床に倒れた俺を跨いでベッドに腰掛けるイケメン高校生。 蔑むような瞳に見下ろされ、俺はつい結城さんに向けられた視線を思い出してしまう。 う・・・マズイ・・・。下半身が・・・ 日曜日は結局アナルプラグを一日中入れてただけで、中途半端なムズムズで完勃ちできなかったまま風呂の前にプラグを抜かれただけで開発は終わりだった。奏汰が急かすから風呂もゆっくり入れなくてオナれなかったし、そのあとも連休中ずっとあいつがべったりだったからできなくて。 つまり俺は溜まりに溜まりまくってるってこと! だからそんな目で見られたら、結城さんと重ねてしまって勃起は不可避なんだよ! こんな状況で勃ってるなんて知られたら益々何されるかわかんねぇ。 俺は横に倒れたまま膝を曲げ、前の膨らみをイケメン高校生に見られないように隠す。 それにしても、コイツこんなことして一体何が目的なんだ? この雑な扱いに言葉遣い。どう考えたって俺に惚れてるとかじゃ無いよな。 よく見れば、カッコイイって言うより可愛らしい顔してるし、芸能人ですって言ってもおかしくない気がする。 はっ! もしかして、コイツが好きなのって・・・ ドドドドッ と二階の床が揺れるほどの音が階段を駆け上がって来る。 「蓮くん!? 僕以外の男連れ込んでるの!?」 開きっぱなしの部屋の入口で奏汰が怒鳴る。 「呼んでもねぇのになんで来るんだよ・・・」 「遅いな~と思って外見たら蓮くんちのライトついてたし、暫く待ってても来ないから迎えに来たんだよ。そしたら玄関に見た事ない男物の靴があったからもう頭に血が上っちゃって。・・・ってなんで縛られてんの?」 俺の前にしゃがんだ奏汰の背後に、イケメン高校生の影が揺れる。 「奏汰!!」 俺の視線を追って振り向こうとした奏汰が項にかかと落としを食らい崩れ落ちる。 「ああ、中谷には手荒なことしたくなかったのにな。でも俺に見向きもしないでこのビッチに駆け寄った中谷が悪い」 気を失った奏汰の腕は、俺と同じようにガムテープで纏められてしまう。 ついでに何故か俺は両足までガムテープを巻き付けられて、その場から身動きが取れなくなってしまった。 「オイ、クソガキ。てめぇ奏汰が好きなんだろ。なんでこいつにまで酷いことする必要があんだよ」 睨む俺に歪んだ笑顔を向けて、自分より大きな奏汰を担いでベッドに寝かせる高校生。 「中谷のことはね、1年の時から目をつけてたんだ。長身で体格もいいし顔もいいのに、ぜーんぶを無駄にしてるような根暗キャラ。でもそれでいいんだ中谷は。俺だけが、中谷の素材の良さを知ってれば良かったのに」 寝かされた奏汰のカッターシャツのボタンが外され開かれていく。 イケメン高校生は露になったインナーのTシャツの上から胸を撫でると、そのまま奏汰のベルトに手をかける。 「あんたはもうとっくに知ってるよな。中谷の体が魅力的だってこと」 は? 魅力とか知らねーよ。見たこともねーし。 まあ毎晩抱き枕にされてっからだいたいどんな体つきかはわかってるけど。 「う・・・」 奏汰が低く呻いてゆっくりと目を開ける。 「あれ? もう目が覚めたのか。中谷には遠慮は要らなかったかな」 「え・・・、前田くん? ・・・どうしてここに?」 「ふふ、驚いたか? これからもっと驚くことになるよ」 奏汰の上に跨った前田が、奏汰の頬を愛おしそうに撫でる。 「何しろ中谷はこのメスネコの前で、俺にメスにされちゃうんだから」

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