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第49話 甘い僕はお好きですか 1
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約10ヶ月の訓練を経て、僕は今日、警察学校の修了式を終えたその足で配属先の警察署へとパトカーで移送される。
式に来てくれてた蓮くん、嬉しそうだったな・・・。「お疲れ様」って言ってくれた。「カッコイイ」って言ってくれた。「お巡りさん」って言ってくれた・・・!
余韻に浸る間も無く即仕事だけど、これからは蓮くんを始めとする地域の皆様の安全のために・・・、って配属されたのは実家があるところが管轄区域じゃないんだけど。今までいた警察学校の宿舎よりも更に実家から離れちゃうんだけど。
暫くは配属先に近い寮生活だけど、宿舎と違って誰かと同じ部屋でもなく完全個別のアパートだし、誰に遠慮することもなく蓮くんに電話したりリモートでオナ・・・なんか見せて貰ったりできるし!
まあ、見せてくれるかどうかはわかんないけど。
その蓮くんは会計士の短答式試験に合格し、論文試験に向けて猛勉強中。蓮くんは、論文試験に一発合格してビッグ4に就職する!と意気込んでいる。よく分からないけど、蓮くんは意外と頭が良い、ってことを最近になって僕は知った。
試験に合格すれば公認会計士の資格が与えられると思ってたらしく、監査法人での実務経験が必要と今さら知って慌てたりして、かなり抜けてるとこもあるけど。
傍にいたらきっと僕は鬱陶しいくらいに求めてしまうから、この距離は今の僕たちには丁度いいのかもしれない。
進む道が違っても、一生懸命努力している蓮くんを見てると僕もきっと頑張れる。
でもね蓮くん。僕の蓮くん不足は深刻なんだ。テレビに映るJ系アイドルが全て蓮くんに見えてしまうほどに。
僕を見て微笑んでくれる恋人なのに、手が届かないような感覚がずっとあるんだ。
これ以上どうしたらいいのか わからなくなってるってのが本音。
男同士だし結婚は無理。パートナーシップという手もあるけど、僕は異動が付きまとう職種だしその度に住民票も移さなきゃならない。パートナーシップ制度が認められている自治体は少ないし結局は意味が無い。
今すぐにじゃなくていい、いつかでいいから・・・
と思ってるけど、奇跡的に前田くんと蓮くんラブの五十嵐さんがくっついてくれたから良かったものの、うかうかしてたら大事な蓮くんが誰かにかっさらわれる危険だってあるんだ。
蓮くんがゲイだって事を伏せてる間はまだいい。五十嵐さんみたいにオープンにする日が来ない事を祈るばかりだ。
1ヶ月後の非番、ようやく仕事にも少し慣れた僕は久しぶりに実家へと帰って来た。
相も変わらずバカップルの母とタカシさんとの会話を早々に切り上げて塩田家へ。
二階の部屋にパソコンと睨めっこしている蓮くんがいて、僕が来たのに気付くと素っ気なく「おう」と一言。
邪魔しちゃいけないと思い、蓮くんの隣、ラグの上に静かに腰を下ろす。
「どうした?」
こちらを見ずに蓮くんが聞く。
「えっ、今日非番だったしさ。管轄区域の地理もだいたい覚えたし、引っ越してからやっとなんとか寮も片付いたし、会いたいなって思って」
「そうじゃねぇよ。なんで・・・その、なんもしてこねえのかな、って」
パソコンから目を離さない蓮くんの耳が赤い。
会いたかったのは、触れたかったのは僕だけじゃなかったんだと思うと堪らない気持ちになる。
「ぎゅってしてもいいの?」
「うん。つーか聞かなくてもし・・・」
蓮くんが言い終える前に勢いに任せて抱きつくと、バランスを崩した彼は床に倒れる。
「おっっも! 奏汰お前またゴツくなった?」
「そう言えば署に配属されてからちょっと太ったかも。筋トレとロードワークは欠かさずしてるからまた筋肉ついたかな」
「体格差どんどん広がる一方だな、なんか面白くねぇ」
「いいんだよ蓮くんはそのままで! でも、もう少し太ってくれたらお尻の揉み心地がもっと良くなる・・・いてっ」
脇腹にワンパンチ。それすら嬉しい。
「・・・揉むだけで満足すんの?」
パンチを食らった脇腹の辺り、僕の服を握る蓮くん。可愛いが溢れてる。
ヤバイです、僕。既にアソコが痛いです。
「蓮くんが勉強中なのに、言ってもいいの?」
「言う?」
「もう我慢できないから準備なんて何にもしてなくていいから、全身舐めまわして中まで舐め尽くしたいしぐっちょぐちょに掻き回したいって、言っていい!?」
「言っていいって、全部言ってんじゃねーか! いいわけねえだろ! 準備しねえとか俺が嫌だわ!」
暴れる彼の脚が股間に当たって激痛が走る。
ローテブルを背中で押して僕は転がる。
うう・・・勃ちすぎて痛いところにお見舞される一発は強烈だ。
「そ、そっこーで準備して来るから大人しく待ってろ!」
部屋を出て階段を降りる足音が大きい。
蓮くんてば照れ屋なんだから、もう・・・
萎えきって痛みも引いた頃、大きな足音を立てて階段を上がる音が聞こえる。
もう2年以上も恋人同士なのに、未だに蓮くんは僕とのセックスに緊張していたり嫌がる素振りを見せる時がある。たくさんキスしろって言ってた頃が懐かしい。あの頃の方が蓮くんは素直だった。
もしかして、僕が蓮くんに結婚だなんだって言ったから? あまりに現実味が無くて、逆に蓮くんを不安にさせてしまっていたのかも・・・
「蓮くんきれいきれいしてきた?」
「・・・きっも。言い方」
「うん、おいで」
「人の話聞けよ」
と言いつつ蓮くんは、僕の横にピタリと寄り添うようにベッドに座る。
「キス、していい?」
「いちいち聞くなよ」
うん。でもね、僕は蓮くんに
「して、って言って欲しいな」
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