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第51話 甘い僕はお好きですか 3

「蓮くん可愛い。僕のお嫁さんは蓮くんしかいないよ」 舌を頚椎に沿って滑り下ろすと、体を反らせた蓮くんの胸が張って、ツンとふたつの突起が上を向く。両方を指の腹で弾くように撫でると、身悶えする蓮くんは体を小刻みに震わせる。 「ぃ・・・、痛・・・」 「少し触っただけで乳首立たせすぎだよ。こんなヤラシイ乳首はお仕置きしなきゃね」 軽く摘んで捏ねると、短く小さく吐息を吐いて僕の肩に後頭部を乗せ仰け反る。 「ここ弾けちゃいそうだよ? 蓮くんの乳首、アソコみたい。勃起してイキたがってる」 「おま・・・ほ、んと、きもい・・・ぁ」 「でも好きなんでしょ? 本当に僕が蓮くんに飽きちゃってもいいの?」 「・・・・・・・・・ぅ、んっ」 嘘つき。即答できないくせに強がってばっかりだ。 「僕が開発したんだよ、蓮くんのここも。今日は勃起乳首からも白いの出るまで頑張ってみよっか?」 搾るように突起を潰して引っ張る。 「ひ・・・っ、や 出したく、ないっ、ぁ、あっ」 「ほら素直に答えないと白いの出ちゃうよ? 僕が蓮くんに、飽きても、いいの?」 言い聞かせるように耳元で囁く。 「やだ、飽き・・・たら、ぁう、や・・・っ、」 白いのなんて出るはずない。おそらく痛みに耐えかねてだとは思うけど、飽きたら嫌だと言ってくれるのが心底嬉しい。 突起から指を離すと 「てめ! マジふざけんな! こんなとこからなんか出てきたらそれこそ恥ずかしくて死ねるわ!」 と真っ赤になって少しだけ伸びた乳首を両手で抑える蓮くん。 出ないってば。まさか本気で出るかもしれないって思ってないよね? だとしたらバカ可愛すぎでしょ。 「出なくて良かったね。まあ、もし出ても僕が全部舐めとってあげるから安心してよ」 「気持ち悪っ!」 「でも好きだもんね? 僕のこと」 「・・・っ、クソ・・・ムカつくっ」 ベッドに倒して覆いかぶさり唇を塞いでなおも胸の突起を執拗に弄ると、蓮くんのくぐもった声が絡める舌の奥で籠って鼻から抜ける。 それだけでもじゅうぶんに煽られるのに、凛とした甘さの髪の香りとか薄らミント味の舌とか、僕の腕にしがみつく手とか、捩らせる下半身とか、膨らんで下着を湿らせる中心とか。 僕の五感全てを支配される感覚。きっと蓮くん以外の何かじゃ絶対に味わえない。 蓮くんも、同じだといいな・・・ 「・・・悔しい」 「なんて?」 「なんで俺、奏汰に触られると他になんも考えられなくなんだろって思ったら、めっっっちゃ悔しいっつったの!」 「なんて!?」 「聞こえてんだろ!」 聞こえてるよ。以心伝心ってこういう事なんだ、思ったことが伝わって同じ気持ちになる幸せ。 蓮くんはキモイって言うかもしれないけど、僕たちの家が向かい同士だったのも こうして抱き合うのも全部、偶然なんかじゃないんだよ。 今まで粗末に扱ったつもりなんて一度もないけど、もっともっと蓮くんを大切にしたいって思う。 耳を甘噛みして首筋に何度もキスを落とせば、擽ったさに首を竦める蓮くんの強ばった体が徐々に解けていくよう。それに比例して表情も蕩けていく。 「かな、た。なんでそ・・・な触り方・・・」 「蓮くんこそ、その顔なに。いつもの倍くらいえっちなんですけど」 困ったように下がる眉、目元まで赤くして睫毛までうるうるの瞳。唇はほんのりピンクで半開きのままで。 「わ、かんね・・・。どうしちゃったんだろ俺、奏汰がなんか・・・甘く?見える・・・」 「えっ?」 恋におちてる自覚があるのと無いのじゃ大きな差がある。愛されてる自覚があるのと無いのも同じだと思う。 「たぶんだけど、蓮くんと僕がようやく両想いになれたからじゃないかな」 「意味わかんねえ。付き合ってんだから、とっくにそうだったろ」 「はは、そうだね」 「やっぱお前ってちょっと変だよな」 蓮くんにだけは言われたくありません。 でもいっか、蓮くんも僕もお互い様なら相性がいいはず。 「僕はこれからもずっと蓮くんだけだよ。言葉だけじゃ証明できないけど、僕の一生かけて証明するから。だから蓮くんもずっと僕だけ見てて」 確約なんてできない。 でもね、僕にとっては蓮くんを諦めるより好きでいる事のほうが数万倍簡単な事だから、きっと。 「・・・まあ、奏汰が飽きないっつーなら」 「『信じさせて』くらいの可愛いこと言えないの?」 「お前、実は結構ふてぶてしいよな」 「蓮くんにはこのくらいがちょうどいいんだよ」 遠慮なんかしていられない。あなたは攻めて攻めて落として、何度でも本音を引き出してあげなきゃいけない手のかかる人だから。 「ふ、そうかもな。・・・じゃあ、ちょうどいい恋人にめいっぱい愛されてやるか」 「うぷっ!」 首に巻き付く蓮くんの腕に力いっぱい引き寄せられ、押しつけるように雑に口付けられる。 「俺はこれからもゲイだってのは公言しねーし、奏汰が恋人だって堂々と言えない。女じゃないし、してやれる事に限界だってある。それでもお前が傍にいてくれるなら、俺も・・・奏汰とずっと一緒にいたい」 自分の耳を疑う。蓮くんがそんな風に言ってくれるなんて思ってもみなかった。言ってくれるのを心から望んでた、だけど 「僕、異動ばっかでずっと傍にはいられないんですけど!」 「バッカお前、そこはお得意の精神論だろ。んなの、ジジイにでもなった時に一緒に縁側で茶でも啜れるようになってればいいだろ」 蓮くんが僕の頬を両手で挟んで額をコツンと合わせる。 「・・・うん、うん!」 嬉しいのに、泣きたくないのに、悲しい時より大粒の涙が自分の頬に零れてくる。 何度も繰り返した僕のプロポーズめいた言葉なんか、蓮くんの言葉の足元にも及ばない。 僕にとってどんなスイーツより甘くて胸焼けしそうなのに、もっともっと欲しくなる極上の言葉たち。 僕は蓮くんの声が聞きたくて、全身で僕を求めてる姿を堪能したくて彼の肌に舌を滑らせる。 「ちょ、泣きながら舐めんなって、・・・は、 ぁ」 「うう、蓮くん好きだよぅ。ほんと僕に甘いんだから・・・」 「俺に甘いのは奏汰のほうだろ。そゆとこ、嫌いじゃねぇ、けど・・・。俺みたいなのに捕まったこと、後悔すんなよな」 蓮くんに髪をぐしゃぐしゃにされて、大事にされてるみたいに頭を抱えられる。 ああ、そうか 逃げられないのはきっと蓮くんだけじゃない。 甘い甘い蜜に誘われて近付いて、夢中で貪っている間に深みに嵌って。 本当に逃げられなくなっていたのは僕だったんだ。 「好き、奏汰」 蓮くんが垂らす蜜に僕は自ら手を伸ばす。 この蜜がないと、僕はもう生きて行けないのかもしれない。 「奏汰も言ってくれんだろ?」 「好きだよ蓮くん、大好き」 「うん」 ねえ蓮くん、片想いってどこからどこまでなんだろう。 やっぱり僕は蓮くんに片想いしてる気分だよ。 だから僕も甘い蜜を与え続けてあげるね。 あなたが僕無しじゃいられなくなるまで、ずっと────── END

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