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その時
.
──その時、何か何処からか怒鳴り声が聞こえた。
それで、
急に自分に乗っている男が急にいなくなった。何処かに行った?
それから、どしんとか、ずしんとかいう音と、罵声が聞こえてきた。
額から血がでている所為か目が霞んでよく見えない。
"何が起こってるの?"
ふいに、誰かが俺を起こして抱き上げた。顔を上げて、その誰かの顔をよく見ようとした。
頭がくらくらしてるし、暗いし、よく見えないし、しかも、混乱してるからかよく分からない。
その人は俺の拘束をすぐさま解いてくれた。
「もう大丈夫だ」
その声は……。
"……木戸!!?"
俺を安心させるかのようにぎゅっと抱きしめてきた。
「……助かった……の?」
声をやっと出す。でも声が掠れてはっきり出せない。
急に、涙が出てきた・・・。なんで、泣くんだよ。だめだ、涙が止まらない。
"すごい怖かった……"
いろんな感情が一気に出てきて、俺はその胸にただすがって泣いてしまっていた。
彼は抱きしめたまま、そっと俺の背中と頭を撫でてくれていた。すると、彼は急に驚いたように、俺の額に手を当てる。
「雅ちゃん、すごい血が出てる!」
「……殴られたみたい」
そう言うと木戸はものすごく怒り
「あいつ!息の根止める」
すぐさまもう一度、あいつを殴りに行きそうだったけれども、でも、俺は木戸の手を離せなかった。
「雅ちゃん……」
そして、俺はそのまま意識が遠のいて行った。
…………
……
…
…
……
凄く眠い……。だけど、遠くで何か話し声みたいなものが、かさこそ聞こえてきてなんだかとても煩い。
眠いのに……。
あれ?なんだか、身体中が痛い。
頭もずきんとして痛い。
どうしたんだっけ?まあ、まだ眠いしこのまま寝ていたい。そうだよ。今日は休みだし。
あれ?今日って休みだったっけ?っていうか。
…頭…?なんで痛いんだっけか??
意識を集中させないと。俺、どうしてたんだ?
"──あ……!"
俺は、ぱっと目を開けた。そうだ、俺、レイプされかけて……それで……助けられたんだ。
"……木戸!!"
助けてくれたのは、木戸だ。あの時、頭が混乱しててよくわかってなかった。
なんで、あの時あの場にいたのかなんてわからないけど、たしかにあれは木戸だった。
心臓がバクバク言ってる。
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