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木戸
木戸が来なかったらどうなってたんだよ??ヤられてたって事??
オンナでも無いのに……そういう対象に見られたんだ。あそこの店から出てきたからそういうやつだと思われたのか?
あの、襲ってきた男の恐くて暗い目を思い出すとまた震えが来る。
"……というか、ここは何処で、今って何時?"
今更ながら、今いるところが自分の部屋では無い事に気が付いた。
そうだ、俺、気を失ったんだったんだっけ?
じゃ、ここって何処?
寝かされているのは、広いベッドだった。辺りを見渡すと見覚えのない何処かの部屋で、誰もいない。
とても落ち着いた感じの部屋だった。
家具はなんとなく高そうな感じ。でも、ここはホテルとかじゃなくって、生活感があるし、明らかに誰かの部屋だ。
あたりが暗い感じだし、まだ、夜なんだろうか?
"それに、服がパジャマに取り替えられてる!"
これってば、なんかつやつやしてる。シルクのパジャマってやつ?なんか高そうなんだけど。ってか、その前に一体、誰に着替えさせてもらったんだろう?
"……もしかしたら木戸?じゃ、ここは木戸の部屋なの?"
ずきずき痛む頭に手を当てたら包帯が巻いてあった。ベッドから起き上がって、床に足を着いて、立ち上がろうとしたら、なんかふらふらして立てない。
気分も悪い。
倒れそう。
…倒れそう…じゃなくって、倒れた。
なんか視界が狭い。駄目だ。力が入らない。
どうしよう、立ち上がらないと。
すると、人の気配がした。誰かが部屋に来たみたいだった。
「雅ちゃん…大丈夫?」
木戸の声がした。
倒れている俺を見たのかあわてて俺に駆け寄って来た。
…見上げると……。木戸がいた。
"ああ、木戸だ……"
安心したのと、それと、木戸に何か言わなきゃ。助けられたんだし…。と色々な思いがぐるぐる頭に巡って来た。
っていうか、俺、木戸にすがって泣いたんだ。
顔がなんだかとても熱い。これきっと顔が赤くなって来ているやつだ……。
それを自覚すると……なんだか、木戸の顔をまともにみることが出来ない。
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