24 / 54
kiss
『雅ちゃん』
電話の向こうで木戸の声がする。だけど、なんだかムカついて返事をする気がしない。
「…………」
『……返事してくれないの?』
「怒ってるから」
『なんで??』
「翔平はああいう年増女が好きなんだ?」
『え………?』
「………」
『あ!!アレねー。あのなんかテレビで湧き上がってるねー。いや違うに決まってるよ。だって俺が女嫌いって業界じゃ有名だし。ほっとけばいいよ。あの落ち目女優が、話題になろうと、噂バラまいてるだけだし。なんかうざかったら、手を打つから。なになに?雅ちゃん、嫉妬してくれてるの?』
なんか・・・ものすごくワクワクしていて嬉しそうな木戸だった。
「違うから!なんで嫉妬なんてするんだよ?何?なんか用なの?用ないなら電話切るから」
なんか墓穴掘ったっぽい。もう、逆切れかまして、ごまかして、俺は電話を切ってしまおうとした。
『待って、待って。今、近所にいるから、行くよって言いたかったんだ』
電話が切れた瞬間。
部屋のチャイムが鳴った。
ドアスコープを見ると木戸だった。木戸は、
「ね、だから、いっしょに住もうよ?」
ドアの向こうでそう言っていた。俺は思わずドアを開けると、
「なんで?」
と、言った。
「いっしょに住めば、俺の行動分かるよ?」
俺は木戸の顔をじっと見る。
「考えとく………」
「やった。じゃ、来月からね。俺んとこ広いでしょ?みっちゃんはいないし大丈夫だよ?」
そういえば、中川店長は、なんか、今度、恋人といっしょに住むとか言っていた。元々中川店長は一時的に木戸の所にいただけで、すぐ出て行く予定だったらしい。
店長の恋人は・・・女だったんだよ。やっぱり、女が好きだったんだ。
中川店長って謎な人だ。
これで、来月いっしょに住んだら。俺、また三木になんか言われるよ。
「って、来月って、すぐ決めないでよ?」
「いいじゃんloversなんだし」
「英語で言うのやめてくれる?」
ギュッときつく抱きしめられる。
「くるしい・・」
「嫉妬してくれるなんて嬉しい。やっぱり雅ちゃんは可愛い。大好きだから」
「それだけ?」
「愛してるから」
「………」
そして思い切りkissをする。
……………
………
……
ともだちにシェアしよう!