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kiss

『雅ちゃん』 電話の向こうで木戸の声がする。だけど、なんだかムカついて返事をする気がしない。 「…………」 『……返事してくれないの?』 「怒ってるから」 『なんで??』 「翔平はああいう年増女が好きなんだ?」 『え………?』 「………」 『あ!!アレねー。あのなんかテレビで湧き上がってるねー。いや違うに決まってるよ。だって俺が女嫌いって業界じゃ有名だし。ほっとけばいいよ。あの落ち目女優が、話題になろうと、噂バラまいてるだけだし。なんかうざかったら、手を打つから。なになに?雅ちゃん、嫉妬してくれてるの?』 なんか・・・ものすごくワクワクしていて嬉しそうな木戸だった。 「違うから!なんで嫉妬なんてするんだよ?何?なんか用なの?用ないなら電話切るから」 なんか墓穴掘ったっぽい。もう、逆切れかまして、ごまかして、俺は電話を切ってしまおうとした。 『待って、待って。今、近所にいるから、行くよって言いたかったんだ』 電話が切れた瞬間。 部屋のチャイムが鳴った。 ドアスコープを見ると木戸だった。木戸は、 「ね、だから、いっしょに住もうよ?」 ドアの向こうでそう言っていた。俺は思わずドアを開けると、 「なんで?」 と、言った。 「いっしょに住めば、俺の行動分かるよ?」 俺は木戸の顔をじっと見る。 「考えとく………」 「やった。じゃ、来月からね。俺んとこ広いでしょ?みっちゃんはいないし大丈夫だよ?」 そういえば、中川店長は、なんか、今度、恋人といっしょに住むとか言っていた。元々中川店長は一時的に木戸の所にいただけで、すぐ出て行く予定だったらしい。 店長の恋人は・・・女だったんだよ。やっぱり、女が好きだったんだ。 中川店長って謎な人だ。 これで、来月いっしょに住んだら。俺、また三木になんか言われるよ。 「って、来月って、すぐ決めないでよ?」 「いいじゃんloversなんだし」 「英語で言うのやめてくれる?」 ギュッときつく抱きしめられる。 「くるしい・・」 「嫉妬してくれるなんて嬉しい。やっぱり雅ちゃんは可愛い。大好きだから」 「それだけ?」 「愛してるから」 「………」 そして思い切りkissをする。 …………… ……… ……

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