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それから
…………
………
…
それから…
何の変哲もない1週間があっと言う間にすぎていた。
変わったことと言えば。
木戸が勝手にBMWで大学への送り迎えをしていて、恥ずかしい…ってこと。
「すごいなー。やったね、玉の輿だ」
三木にまっさきに言われたのはソレだった。
木戸には、いっしょに住もうとか言われてたけど、いっしょに住んだら、きっと俺は毎日ヤラレ倒されそうだったのでそれは遠慮していた。
さらに暫くたったある朝、その日は休日だったのでベッドの上で目が覚めても、なかなか起き上がらずにぐずぐずしていた。二度寝とかしようかなとか思っていた時、いきなり甲高い声が聞こえてきた。
それは、タイマーで目覚まし代わりにしてつけているテレビからだった。女性アナウンサーと、それとレポーターの女性の声だった。
テレビのタイマーとか消しておくんだった、とか思いながら、俺は、それをききながら、ボーっとベッドの上でごろごろしていた。
すると、突然、どこかで聞いたような名前をそのレポーターが言い出した。
「……では、キドショウヘイさん……」
──えっ?…今、木戸翔平って、聞こえた。まさか……?
俺は、思わず、起き上がってテレビを見た。そこに、あの『木戸翔平』がいた。
「……なんで?」
テレビに映っているのはたしかに、木戸だ。
どうやら、企業紹介みたいな感じな番組みたいだ。
この会社って……。WebサービスでSNSやBlogとかゲームとかやってる、最近、よく聞く会社じゃないか?
木戸の会社ってここ?IT企業の社長とか言ってたけど、そんなIT企業なんて、沢山あるし知らなかった。
だから、『木戸翔平』って名前、どこかで聞いた事があったんだ……。テレビのテロップには『独身のイケメン社長』とか書いてある。
…イケメン……なんか顔が引きつってきた。
……でも、変態野郎なんだよ。
レポーターをやっているのは、最近あまりドラマも出なくなった落ち目の女優で、最近はこういうレポーターみたいなのばかりやっている人だった。
その女優は木戸を見て目をキラキラさせていた。
そういえば、こういう番組で、女優とどこかのIT企業の社長が出会って、結婚したっていうの聞いたことがある。
この女優も狙ってるっぽくみえる。
すると、行き成り画面が変わって、芸能レポーターらしき人が現れて、
『この女優○○さんと、木戸翔平さんが付き合ってるらしいという「噂」なんですが……』
と大きい高い声を張り上げていた。
何言ってるんだよ?
っていうか、なんだかムカついて、思わずそばにあった枕をテレビの画面に投げつけた。
その時、携帯が鳴った。
最悪なタイミングというか、いいタイミングというか木戸だった。
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