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翔平のせいだから
「翔平っ!!だって、翔平がなんか倉沢先生に恨み買うよーな事するから。俺が酷い目にあったんだろ!!」
そうだよ。翔平のせいだから。
「倉沢のはねー。アレは逆恨みだから」
「逆恨み?」
「んー。まあ…。そんな説明は後でするから。ねえ?そんな事よりも雅ちゃんさあ。倉沢に何処までやられた?」
翔平はにっこり笑いながらでも目は怒っていた。
「ヤられたってっ。何もされてないから。触られただけだから」
「そう?」
「そうそう。……あっ!」
「……あ?って…何?」
一瞬、俺の目は泳ぐ。
「……キスはされた」
「キス…は?それだけでも、許されないよね?」
目は怒りながらでもにこにこしている。怖い。
"じゃ。消毒だよ?"
そう、小さく囁いて翔平はキスをしてきた。
"チュ"と音をたてて唇からどんどん下へ行き、首筋そして胸にもいく。
「翔平……ずるい」
そんなにキスすると…思考が止まっちゃうじゃないか。
俺だって色々説明してもらいたいのに。
聞きたいのに。
どうやって居場所がわかったの?
とか。それから……。
「ずるい?だってあの時俺が来なかったら、雅ちゃんどうなってた?」
翔平は意地悪くニヤッと笑った。
「だって」
……それは……犯られてた…。
「だってじゃないよ?ね?雅ちゃんは誰の?」
いきなりそんなことを言いだす。
「え……」
そりゃ、解ってるけど言いたくない。
「ふーん?素直じゃないね?……じゃ、やっぱりお仕置きだよ?」
くすっと笑った翔平は、いきなり、俺の手をつかんで後ろ手にした。
『かちゃっ』
という音とともに、なにか、手に嵌められた。
「──何?何?何……!」
「手錠だよ?」
翔平はニコニコしながら、もう一方の手も後ろ手にして同じようにして"かちゃ"という音を出して手錠を嵌めた。
「翔平っ馬鹿っっ!何やってるんだよ!!」
翔平は俺のその怒鳴り声を全く無視して、コロンとベッドの上に押し倒して、
「雅ちゃん、かなりエロイよ」
そう、嬉しそうに言った。
「はずしてっ!!痛いし」
「外しちゃったら面白くない」
翔平の目は怒っていても軽く微笑んでいるその顔がすんごく怖かったんだけど、でも、手錠を嵌めた時からまた少し表情が変わってきた。
なんだかわくわくしているし。
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