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LONG WAY HOME 10

「何だよ? 鷹人。眠そうじゃん」  顔を見た途端、進藤にそう言われ、ムッとして睨み返した。 「あー、眠いねぇ」 「瞬さんに言っといたのになぁ。程々にしといて下さいって」  進藤がニヤニヤしながら近寄ってきて、俺の肩をポンポンと叩いた。 「あのな、お前、瞬に何か余計な事言っただろ?」  進藤の手を振り払いながらそう言った。 「何か余計な事って何だよ?」 「瞬が遠慮してるなんて、おかしいんだよ。お前、一体何を言ったんだよ?」  俺の言葉に、進藤はイヤラシイ笑顔を向けてから、フンと鼻を鳴らした。 「鷹人は最近、仕事仕事で寝不足だろうから、早めに寝かせてやってくれって言っただけだぜ」 「だけど、あの瞬が・・・」 「だけど、何だよ?」 「あ・・・いや、別にさ」 「ふーん。瞬さんって、そんなに好きなんだー?」  進藤が変に勘ぐってしまった。っていうか、俺がそんな言い方してたんだ・・・墓穴掘った。 「え? いや、そうじゃないけど・・・」 「恥かしがらなくてもいいじゃないか。ふーん。そうか・・・あの、瞬さんがねぇ」 「やめろよ・・・お前が言うと、何だか、瞬が汚れる気がする」 「何だよそれ? ったく、失礼だな。あー、俺も早くサチとやりたいよ」  進藤は、これから打ち合わせだって言うのに、ギリギリの時間まで「サチに会いたい」って話をし続けた。  それにしても・・・ もしかして、昨日の瞬は、俺を挑発してるつもりだったのかな? うーん?  まぁ、時々は、あんな瞬も良いかも知れない・・・。  進藤の話を聞き流しながら、これから一週間、瞬と居られる事を考えて、幸せな気分に浸っていた。  とにかく、今日帰ったら、思いっきり愛し合いたいな――。 おわり

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