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はっぴーでいず 9

 電車を乗り継ぎ、ライブハウスのある駅に到着すると、会場に向って歩き出した。 会場周辺には、以前ライブに来た時とは少し違う雰囲気だったけど、相変わらず普段着ではないと思われる服装の女の子達が沢山いた。  もうすぐ開演なのに、会場の外にも人がたくさん居るのはなぜだろう? 開場時間が遅れたのか? そう思いながら俺は入り口目指して歩いていた。  歩いている時、まわりから聞こえてきた会話から、グッズだけを買いに来た人やメンバーの入り待ち・出待ちをする人達が集まっているんだという事が分かってきた。そう言えば、前にもそんなことがあったような気がするな……。  これだけ沢山の人達の心を虜にしている、瞬をはじめとするサーベルのメンバーは、本当にすごいって改めて思った。  入場の列に並び、入り口でチケットを見せ建物の中に入った。 ドリンク代を払ってから、すぐにロッカーを見つけ、上着などをしまっておくことにした。ロッカーの間が狭くてちょっとビックリしたけれど……。  その後、俺は開いている扉から会場の中に入った。見回してみると、前の方には主に女の子が集まっている感じで、後ろの方は男女半々くらいで比較的ゆったりした感じだった。  あまり後ろの方だと瞬が見えないような気がして、俺は真ん中あたりの一段上がった所にある機材が並べられているスペースのそばで見ることにした。  しばらく開場を待っていると、すぐ横の柵を陣取っていた数人の女の子達が前の方に行ってしまった。俺はその柵の所に移動することにした。これで足腰が疲れた時に少しは寄りかかることが出来そうだ。  しばらくすると、BGMの音が小さくなりステージにメンバーが現れた。その瞬間、前の方のファンがステージめがけて移動していくのが見えた。満員電車のような混雑の中、ファンの子たちはステージに現れたメンバーに手を振りながら名前を叫んでいた。  演奏が始まると、ステージ中央にスポットライトがあたった。光の中にたたずむシュンはキラキラと輝いて見えた。やっぱりステージで歌っているシュンは、めちゃめちゃカッコいい。俺と一緒に居る時のように寝ぼけた顔してないし、甘ったれた雰囲気でもない。凛として美しく、多くの人が憧れるのも頷ける――。  俺がシュンに見とれていると、突然、ギターのサチが視界に入り込んできた。 どうやらサチは俺を見つけたみたいで、悪戯っ子のような笑顔で俺を見てから、少しずつシュンに近づいて、シュンに何かサインをおくっているようだった。でも、シュンは歌うのに一生懸命で、サチの行動には気づかなかったみたいだけど……。

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