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序章:運命のイタズラ 1話

「うぅ...あれ?...ここは...」 目を開けると辺り一面真っ白な空間が広がっていて、白よりももっと白い不思議な空間だった... そんな空間に僕は、たった一人で立っていた。 雨の中にいて、びしょ濡れだったはずなのに、体はひとつも濡れていなかった... 「なんで、僕はここに...」 『『『吉永羽瑠(よしながはる)さま?』』』 いきなり名前を呼ばれて振り返ってみると、 金髪の美しい女の人が3人立っていた。 「あ...はい。あなた達は...」 『『『私たちは人間の運命と寿命を司る神 三女神モイライです』』』 「...さん、じょ...しん?」 何を言っているのか僕には理解できなくて、 ただ名前を繰り返すことしか出来なかった。 『『『あなたは、2020年4月2日19時15分32秒、飲酒運転による事故に巻き込まれ、天命を終えました。』』』 「.........」 そうだ...僕は...あの人に裏切られて 車に轢かれて死んだんだ... 「...っ....っ....」 思い出しただけなのに涙が止まらない。 死んだことよりもあの人に裏切られたことが 悲しくて、胸が...苦しくて... 張り裂けそうになった... 「...っ...大好きだったのに... ずっと信じて...っいたのに...」 とめどなく溢れるこの想いを、どこにぶつければいいのか分からなくて、僕はただ涙を流すことしか出来なかった...

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