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17※
「くぅ……ッ!ぅ、んんぅ……ッ!」
「はぁ……っ、ん、は……やば、スレイヴちゃんの味がする……っ」
そこで喋るな、嗅ぐな、舐めるな。
そう言いたいのに少しでも気を緩めれば気持ち悪い声が出てしまいそうで怖かった。必死に唇を噛み、声を、呼吸を殺す。
下腹部、腹の中でぐちゅぐちゅと濡れた音が響き、くまなく這わされる舌先に目眩がした。
メイジの鼻息が吹きかかるだけで背筋が凍る。嫌なのに、逃げようと腰を引こうとすることすら許されない。
「っ、ふ、ぅ……ッ、く、ぅう……ッ」
こんなの、何が楽しいのかまるで理解できない。
それなのに大の大人が、夢中になって俺の股間に顔を埋めて内壁をむしゃぶり尽くすその図は滑稽でもあり恐怖でもあった。
ふやけてるのではないかと思うほどこの男は俺の中をたっぷりと念入りに恐ろしいほどまでに執拗に味わった。逃げることも出来ないまま、大量の唾液を流し込まれたそこはメイジが舌を引き抜くと同時にどぷ、と溢れるのだ。中途半端に嬲られ、とろとろに濡れそぼった肛門を見てメイジは舌なめずりをするのだ。
「……なあ、スレイヴちゃん。あいつが今どこに行ってるか分かるか?」
「っ……な、に……ッ」
自分のベルトに手を伸ばしたメイジはそのまま片手で器用に外す。既に張り詰めていた下腹部は嫌でも目についた。それでも直視できない、したくもない俺の目の前、わざと見せつけるように緩めた着衣から引き摺り出した性器を俺の下腹部にぺちんと押し付けるのだ。その感触だけでも堪らず体が跳ねた。
散々弄られ、腫れ上がり、捲れたそこに触れる熱く硬い肉棒の感触に嫌でも昨夜の行為を体は思い出し、勝手に疼き出すのだ。口の中が酷く乾いていく。
逃げ場などはない、術もないのだ。ならば、と最後の抵抗のつもりで目を瞑って顔を逸らそうとするがすぐに頭を掴まれ、メイジの方を向かされた。
「ナイト迎えに行ってんだよ」
むに、と押し当てられた亀頭に意識を取られた瞬間だった。手首をぐっと掴まれる。その言葉の意味を理解するよりも先に部屋の扉が開いた。
「スレイヴ殿……ッ!」
なんで、これも夢か。メイジの見せた夢なのか。
何故ここに、この部屋に――ナイトが。
扉の前、こちらを見て顔色を変える男にそう、息を飲んだ瞬間。
「っ、な………………――〜〜ッ!!」
ずぷりと難なく挿入される性器に堪らず仰け反った。声を上げることもできなかった。開ききった毛穴からは汗という汗が玉のようにどっと吹き出し、目の前が白く染まる。
「ッ!……っふ、ぅ、待っで、ま゛ッ、ぁ、お゛ッ!ぐ、ぅううう……ッ!」
足首を掴まれたまま叩きつけるように根本まで挿入したメイジはそのままガクガクと震える俺の腰を捕まえたまま奥の感触を楽しむように浅く息を吐くのだ。
夢じゃない、夢ではないのだ。
ナイトがそこにいる。なんで。
頭が真っ白になる。なんで俺は、こいつの前で、メイジに。
「……っ、ナイト、お前さあ来るの早すぎだろ……っ!」
「っ、メイジ殿……貴殿は……ッ」
そう、止めに入ろうとするナイトの背後。
顔を覗かせたそいつはベッドの上、メイジに犯されてる俺を見て「おー、やってんな」と楽しげに笑った。
そして、ナイトを宥めるようにその肩を抱くのだ。
「やめとけやめとけ、ナイト。こいつに何言ったって一緒だって。――これは俺らのパーティーの意向らしいしな」
対して驚くわけでもない、まるで最初からこの部屋で何が行われてるのか知っていたかのようなシーフの態度に頭が混乱する。他の奴らに見られてる、それ以上に、ナイトに見られてることがただ恥ずかしくて耐えられなくて俺は必死に藻掻こうとするが体が動かない。
「っ、み、るなぁ……ッ!頼むから、見ないで、くれ……ッ!」
「なんだよ、さっきまでノリノリだったくせに大好きなナイトが来たから恥ずかしがってるのか?」
「っ、こ、ろす……ッ、殺してやる……ッ!ん、むぅ……ッ!」
「ッは、……ッ中きゅんきゅん締め付けておいて何言ったんだか……っ!おいナイト、お前は知らないだろ?スレイヴちゃんはこうやってケツの穴犯されるのが大好きなんだってよ……っ」
「っ、ち、がぁっ!嫌だ、やめろ!抜ッ!ぅ、う゛げ、ッ、抜けぇッ!」
やめろやめろやめろ頼む見ないでくれ、ナイト、嫌だ。こんなの嫌なのに、頭の中までぐちゃぐちゃに掻き混ぜられたみたいに何も考えられない。根本までずっぽり挿入されたまま奥を執拗に亀頭でぐちぐち押し潰されるだけで開いた喉からは汚い声が漏れた。ビクビクと痙攣する下腹部は隙間なくメイジに犯されたまま小刻みに揺すられ、その振動だけで既に勃起した性器は揺れる。
こんな間抜けな姿をナイトに見せてる事実が耐えられない。これだけは、絶対に。
「っ、ぁ、ぐ、ぅ……ッ!ふ、っ、ぅ……ッ!」
「やめろ……ッ!いますぐスレイヴ殿を離せ!こんな真似をしてどういうつもりだ……ッ!」
「……っそんなの分かってるだろ、勇者サマを傷付けた罰だ。……お前もあいつと同じ気持ちになってほしいってさ」
そうメイジが俺の髪を撫で、唇を落としたときだ。
「ッ、ぐ、ぅ!」とナイトの呻き声が聞こえてきて、全身が冷たくなる。
「悪いなー、ナイト。俺はあんたに恨みないんだがうちの坊っちゃんが難しい時期なんだわ、悪いがあいつの気持ちが晴れるまで我慢してくれよな」
ナイトを側の椅子に拘束したシーフはそう申し訳なさそうに笑う。そしてそのときだった、ナイトと目が合った。ショック、失望、違う、申し訳なさ、怒り、困惑――それらが混ざり合ったような形容し難い表情だった。それもほんの一瞬、俺から目を逸らすように目は瞑られる。そして『すまない』……そうナイトの唇が動いた瞬間、辛うじて形を保っていた一本の糸がぷちりと音を立てて引きちぎれたのだ。
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