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神崎の災難

「藍堂って綺麗な顔してるよな」 「知ってる」 「なぁ、相手してくれよ。藍堂って男もイけるんだろ?」 廊下の窓に寄り掛かる藍堂に、一人の男子生徒が肩を抱き必死に口説いている。藍堂は引き離そうとはしないものの、興味無さそうに携帯を弄っている。 口が悪く、素行も悪い藍堂だが、その整った容姿からか、女だけではなく男にもモテる。前までは直接的に口説かれた事は無かったが、最近はこんな風に積極的に藍堂を口説く亡者が現れた。 これから屋上でヤる予定だったんだが。蚊帳の外な俺はただ二人の様子を側で見ていた。 俺、教室戻るかな。微妙に男が俺を邪魔臭そうに見てくるし。 「おい藍堂、そいつとヤんだったら俺戻るけど」 「は?誰がこんな芋とヤるかよ」 藍堂は男の手を払うと俺の首根を掴んで来て、俺は引き摺られる様に屋上へ。 うわ、なんかすげぇ睨まれてるし。これで後々俺に被害が回って来たらマジ許さねぇぞ。 藍堂を口説く様な奴は、藍堂と同様に派手な身なりをした奴等ばっかだ。俺はこんな身なりでも不良じゃないし、喧嘩なんてもってのほか。第一身長がこれじゃ、不良相手に抵抗も出来るはずが無い。 「藍堂、あんま不良を煽るなよ」 「あ?この俺を抱こうなんざ考える奴なんか知るかよ」 俺だってお前の事、現に何回も抱いてんだけど。まぁ、主導権は無いけど。 藍堂の基準が良く分からないが、藍堂の性癖について行ける奴は中々居ないだろう。俺も、イツメンを除いて、藍堂以外の奴とはヤろうとは思わない。寧ろあり得ない。 こう考えるとやはり、俺と藍堂は相性が良いみたいだ。 「おら、さっさと脱げ」 「はいはい」 態度は心底ムカつくけど。

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