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プロローグ

 ずっと、欲しかった。初めてあいつを見た時から。だけどあいつは遠すぎて。俺はただ見ているだけだった。あいつはきっと俺の存在すら気付いてなかっただろう。  忘れられると思った。離れてしまえば。会うことがなくなれば。  あいつがこの街を去って、俺の心は随分と落ち着いた。あの時の気持ちは、きっと一瞬の迷いだと思えた。  なのに。  あいつがまた目の前に現れた。あの時と変わらない笑顔で。再び、俺の心が騒ぎ出す。  あいつが欲しい。  そんな気持ちが日に日に強くなって。簡単に手に入れられるはずもないのに。  だって。俺が欲しかったのは。  森本拓海という、1人の「男」だったから。  今、俺の腕の中にいる、この男だったから。

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