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第9話★

「……森本……先生?」 「……俺は、いいなと思っていました。倉田先生のこと」 「…………」 「男が好きかどうかはよく分かりませんけど、だけど、倉田先生とは……」  そこで、一瞬、森本が言葉を止めた。そっと顔を上げて、倉田の瞳を覗く。水分の多い、潤んだ大きな瞳が目の前にあった。 「……倉田先生とは、こういう関係になりたいと思っていました」  次の瞬間には。森本の唇にむしゃぶり付いていた。両手で森本の顔を包んで逃がすまいと唇を押し付ける。 「は……ん……」  森本が熱い息を漏らし始める。もう、何も考えられなかった。ずっと、欲しかったもの。それが、向こうから手の内に入ってきた。それを拒む理由も勇気もない。どんなつもりで森本がそう言ったのかは二の次だった。  保健室にお互いの唇を求め合うリップ音が響いた。自然と舌が絡まる。温かい森本の舌が優しく倉田の口内を這い回った。倉田は逆にそれを強く捕らえて森本の口内を激しく犯す。 「んっ……ん……は……」  2人の熱が急激に上がっていく。お互いのワイシャツに夢中で手を伸ばし、もどかしそうにボタンを外していく。その間もずっと唇を求め合った。  全てのボタンを外し終え、シャツを脱がそうとするが、袖のボタンが引っかかり手が通らない。そのボタンを外す余裕もなく、はだけたままの状態で再び抱き合う。  森本がそっと倉田の背中に手を回してきた。倉田は両手で森本の上半身を無遠慮に撫で回す。女のようにふくよかな体ではないのに。森本の均整のとれた引き締まった体に妙に興奮した。  両親指で森本の胸の飾りを弄る。さきほどよりも早く硬く尖っていく先端を更にクリクリと弄る。びくり、と森本の体が震えた。 「んっ……あっ……」  森本が、苦しそうに唇の隙間から喘ぎ出した。堪らず倉田から唇を離して声を上げようとするが、倉田はそれを許さない。執拗に森本の唇を追って、掴まえる。 「んんっ……くらたせ……あっ……ちょっ……」  森本が何か訴えようとするのを無視して森本の口内を犯し続ける。森本が背中に回していた手を倉田の首に絡め直し、倉田の髪をきゅっと手で掴んだ。キスを続けながら胸を攻められている間、感じる度にその髪を掴む手に微かに力が入る。  その優しく髪を掴む仕草に、倉田の中で森本に対する愛しさのような感情が沸き上がった。

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