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第8話 エピローグ

 あれから3年の月日が経った。忍は正人のマンションに住み始め、二人で幸せに暮らしていた。  でも、その幸せを更に強める代物を正人が忍にそっと渡して来る。 「何? これ……?」 「指輪」  そう。シルバーに光る二つの指輪。 「俺に?」 「当たり前だろ。他に誰に渡すんだよ」  そう言って、照れ臭そうに笑う正人。そして、忍の涙を見詰めながら、忍の左手に触れる。 「ずっと一緒にいような」 「それってプロポーズ?」 「あぁ。プロポーズ」  ニタッと笑う正人に釣られ、忍も泣きながらニコッと笑う。そして、忍は一つの指輪を取り、正人の指にも同じシルバーの指輪を嵌めた。  同じ指にキラッと光る二つの指輪。それはまるで、お互いの小指に繋がったあの一本の赤い糸を象徴してくれているようだった。 「正人、ありがとう。大好き」  忍は思い切り両手を広げ、その大きくて逞しい身体に抱き着き、永遠を誓うようなキスを正人に贈ったのだった。

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