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プロローグ
19歳の春。俺はある幽霊と出会った。
もともと俺は霊感が強い方だったので、これまでも可愛らしいのからエグいのまで老若男女、様々な幽霊たちと出会ってきてはいた。
それなりにあしらい方も知っていたし、幼いころにあった恐怖心なんかはもうすっかりなくなっていた(うまく付き合うと悪い奴ばかりではないのだ)。リアル妖怪、いや幽霊ウォッチ状態。
しかし、この時会ったあいつは、今まで会ったどの幽霊とも違っていた。
幽霊のくせに。妙な存在感を放っていた。それこそキラッキラなオーラを出して輝いていて、お前はどっかのカリスマモデルか、と言いたくなるような男前だった。幽霊特有のあの陰険さはどこにもなかった。頭も良くて器用だったが、性格は最悪だった。
俺はなんでこいつに出会ってしまったのだろう、と何度悔やんだことか。
しかし、性格が悪いのはまだ百歩譲って我慢できないこともなかったが、あいつの性癖には本当に辟易した。
そう。あいつは変態で、女も男もいける色情霊だった。
俺はあいつに貞操を狙われて、狙われ続けて、というか、襲われ続けて、なんやかんやで最終的に奪われたのだった。
これは、そんな変態幽霊野郎と俺の出会いから別れまでの話。
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