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第2話 ②
圭介の私物は自分の物だと思っている節があり、許可なく何でも使うし、必要ないくせに飲食もする。『ありがとう』も『ごめんなさい』もない。
というか、相手に気を遣うとか、罪悪感とか、一般社会の中で生きていく人間なら(死んでるけど)誰しもが少しは持っていそうな必要最低限な思いやりを一切持っていなかった。
まあ、つまり、もの凄く我が儘なのだ。自己中なのだ。基本、自分のしたいことをしたい時にする。相手の都合はお構いなしに。
一番腹の立つ自己中は。圭介がどんなに疲れていようと、生気補充という理由でほぼ毎日、圭介の体を弄ぼうとすることだった。
そんな樹だけでも面倒だというのに。同居が始まって1ヶ月ぐらいが過ぎたころ。
『初めまして~』
なぜかもう1人。女の幽霊が現れるようになった。
『……誰?』
『あ、私、亜紀っていうの。よろしくね、圭介くん』
『…………』
説明を求めその亜紀と名乗った幽霊の隣で雑誌(圭介の)を読んでいる樹を睨むように見た。その視線に気づいた樹がこちらを見返す。
『何?』
『説明しろ』
『え? ……ああ、亜紀のこと? こいつは、俺のまあ、友達? みたいな?』
『まあ、体もお友達だったけどねぇ』
きゃはは、と嬉しそうに笑う亜紀を無視しつつ、圭介は更に樹を問い詰めた。
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