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第2話 ④
「圭介?」
そう目の前で言われてはっと我に返る。目と鼻の先に綺麗に整った樹の顔があった。
「おわっ。なんだよっ」
「なんだよって、お前が急にフリーズするからじゃん」
「……ちょっと、回想してた」
「何を? 俺との情事?」
「……アホか。お前と情事した覚えはない」
「挿れてはないけど、色々してんじゃん」
「お前が無理やりやってんだろーが!!」
「そんなこと言うけど、最近、感じるようになってきたじゃん、圭介」
「……言うな、それを……」
「照れてんの? 可愛い~、圭介くん」
「お前……殴ったろか」
「殴れるの?」
「…………」
そう言って、ニヤッと笑うと樹はその辺にあった雑誌を手に取って再びベッドに寝転がると、手でパラパラとページをめくった。普通の生きた人間みたいに。
こういう時は有体化するくせに。都合のよい時(圭介が樹を殴ろうとした時など)は幽体化して半透明になったりするから本当にたちが悪い。
大体。幽霊のくせになんでこんなに存在感があるのか。
物だって普通に使っているけれど、圭介の知っている幽霊たちは物をすり抜けてしまうぐらいの薄い存在感しかなかったため、物を掴むことなど至難の業に見えた。なのに、樹に関しては、なんの違和感もなく楽々と物を動かすし、触ることもできる(ついでに亜紀も)。
それだけ強い力を持った霊なのだろうけど。その力を維持するのに不本意ながら協力させられているのは自分なのだ。
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