14 / 14
、
次の日の朝。
「七瀬くん、僕今日も〇〇公園にいるから早く来て! 待ってるねー」
昨日と同じようにかかってきた電話。
「やだよ。俺行かない。まだ眠いし」
「今僕の膝に子猫ちゃん乗ってるよー。会いたくないの?」
そんなことを言われると、少し迷う。
子猫には会いたい。けど眠い。
「ついでに、帰りにどこか食べに行かない? 僕今日父さんいないから昼食べにいかなきゃいけなくて」
「まぁ、いいよ。そこまでいうなら」
「やった! じゃあ待ってね。またね七瀬くん」
了承したのは、ただ単に子猫に会いたかったからだとか、依織の嬉しそうな声が聞きたかったからだとか。
そんな不毛な理由。
だけど、毎日こうやって依織に振り回されるの悪くない、なんて。
最近の俺は、依織に感化されているのかもしれない。
公園につくと、昨日と同じベンチに座り、横に座っている子猫を撫でている依織を見つけた。
「おはよう。猫ちゃん。依織」
「挨拶が僕より猫の方が先ってどういうこと! 七瀬くんが一番好きなのは僕でしょ!」
子猫と目線を合わせながら撫でると、ふにゃーと可愛い声で鳴いた。
「よし、決めた! この子の名前はふーちゃんだ」
「ふ、ふーちゃん? ダサ」
「うるさ。依織はわかってないねー、この名前の良さが。やれやれ」
命名 ふーちゃん
俺がつけた子猫の名前。
これからも、俺達二人が仲良くできるよう、見守っていて欲しい。
お供物はささみで。
第3話 モノに釣られた話 end
ともだちにシェアしよう!