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プロローグ
その日は何故か風が強くて、いつもなら控えめな甘い香りが強く漂っていた。
青紫色と白色、そして緑色のコントラストが夕日に照らされ、それはとても美しく……白衣姿でそこに佇むあなたを見た時、僕の胸がすごい速さで波打ち一瞬で釘付けになった。
そしてその香りに包まれる姿をひっそりと眺めながら、それはゆっくりと恋心へと変わっていく。
あなたは教師で、僕はあなたの生徒。
そんな単純な方程式が解けない僕が見つめる先で、あなたは哀しそうに微笑むとその目を伏せた。
決して許されない恋だと分かっているはずなのに、呼吸をする度、瞬きをする度、この気持ちは加速する。
ゆっくりと、でも確実に。
そして僕は昨日よりももっと、先生を好きになる――――
~戀い慕う~
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