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6 遊び人とショタ
今日の仕事はお休み。
昨日、仕事仲間の川崎くんとお食事した時に、もっと一緒に遊びたいって言ったら、明日鳴瀬くんと遊ぶけどついて来てもいいよって言ってくれた。
川崎くんは私より身長十センチ以上低くて、小さくて可愛い。
汚れを知らない中学生みたいで、とにかく可愛い。
待ち合わせ場所に行ったら、
「お前誰だよ!? オシャレ眼鏡連れてこいよ!」
って怒られた。
計画通り。
昨日、川崎くんの黒縁眼鏡をかけて、お仕事でやってる白石っぽく話してたら、仲良くしてくれた。
でも違う。
私はこう、小悪魔的なショタを見たい。
今日は普段着のロングカーディガンと細身のデニムを穿 いて、骨格をぼかすための黒髪長髪のウィッグを着けて、化粧もしてきた。
昨日まで川崎くんと会っていた姿は、私にしてみれば『白石くんのコスプレ』だ。
中学生になって『腐女子』と分類される子たちとお友達になって、それまですごく嫌だった自分の容姿が、ありがたいことに重宝されるようになった。
色んなコスプレを要望されて、上手にできるとみんなとても喜んでくれた。
そのキャラ達の声真似を一生懸命練習したら、もっとお友達が増えた。
それで声優になろうと思って、声優養成所に入った。
最近、お友達にゲームキャラクターのオーディションがあることを教えてもらって、絶対受かってと言われたので頑張った。
そうしたら、全く経験がないのに、受かってしまった。
受かったからには、もっともっと頑張りたかった。
スタッフは女の人ばかりだったけど、演者はみんな男の人。
緊張した。
でも、可愛い子がいて安心した。
一通りみんなと読み合わせしたら、みんな優しいひとで緊張が解けた。
ただ、可愛い子だけは意地悪だった。
そこがまた可愛かった。
親密度上げたらツンデレショタと呼ばれる子みたいに照れたりしてくれるかなぁと思って、その子が好きな眼鏡をかけたら、あまりにもあっさり転がってきたので、意地悪をすることにした。
鳴瀬くんの運転する車に乗って、郊外のアミューズメント施設に向かう。
助手席の川崎くんが早く眼鏡をかけろというので、そのままの格好でかけたら、違うだろとまた怒られた。
楽しくて、また意地悪する。
「川崎くん、こういうのは『おねショタ』って言うらしいよ?」
「言わねーよ! おまえお姉ちゃんじゃないし、俺もショタじゃねーよ!」
想像通りの反応が返ってきて、ついつい笑ってしまう。
男の子のお友達はいなかったんだけど、川崎くんとはお友達になれそうな気がする。
川崎くんが仲良くしている鳴瀬くんも、不良みたいな格好だけど、私が川崎くんに意地悪されると助けてくれるいいひとだ。
明後日川崎くんとキスをするからそろそろ優しくしたほうがいいかなと思ったけど、多分大丈夫。
眼鏡をかけてカッコいいフリをすれば、ちょっとおかしい川崎くんは、コロッと私に懐いてくれるはずだ。
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